コピーキット方式とはどういう保守契約?
メリットや注意点などコピーキット契約の特徴を解説
コピー機の保守契約では、カウンター保守契約が主流となっています。
しかし、一部メーカー・一部機種では「コピーキット方式」を選ぶこともでき、コストを下げられるという声もあります。
この記事では、複数あるコピー機の保守契約の1つ・コピーキット方式について、その概要やメリット・注意点についてご紹介します。
契約内容をしっかり確認しないと、かえって損をしてしまうおそれもありますから、その点に十分注意が必要です。
コピーキット方式の概要
まずは、コピーキット方式がどのような契約なのか、その概要に触れていきます。
カウンター保守契約との違いも含め、契約を判断するにあたり、中身を確認していきましょう。
コピーキット方式とは「トナーを買う」契約のこと
コピーキット方式とは、カウンター保守契約では無料となるトナーを、使い切ってしまった都度購入するタイプの契約方式です。
メーカーによって違いもありますが、一般的には「トナー購入代の中に、保守料金・部品代などが含まれている」という解釈です。
感光体・現像剤の使用量・サービスマンの派遣も含む保守サービスといった料金を、トナーが一手に引き受けてくれる形になります。
トナーがなくなった段階で連絡を入れればよいので、サービスマンのために定期的にトナーの在庫管理をする必要がなく、その点では管理が楽になります。
契約の有効期間についてですが、こちらは以下の2つが該当します。
- トナーを使い切ってしまった場合
- 購入後、一定の期間が経過した場合
上記のいずれかを満たした段階で、再度トナーの購入が必要です。
ちなみに、トナーその他付属品のことを「コピーキット」と呼ぶところが多いため、コピーキット方式という名称が知られています。
業者の中には、トナーキットという名称で呼んでいるところもあります。
トナーはどこの会社でもOK?
コピーキット方式の概要を知ると、トナーが料金体系の中心になっているのなら、そのトナーを一部ごまかして使えば、契約満了期間まで無料にできると考える人が出てくるかもしれません。
もちろん、このような使い方はNGで、契約先が指定したトナー以外の使用は認められていません。
業者・メーカー側としては、トナーが収入の柱であり商品になるわけですから、そこをごまかされると大きな痛手になります。
よって、契約する際は以下の点に注意が必要です。
- メーカーからの再購入が必須となる
- リサイクルトナーや他社トナーの利用によって不調をきたした場合は、保守サービスの対象外となる
上記を把握した上で、カウンター保守契約と比較検討することが大切です。
どういうオフィスや企業に向いているのか
コピーキット方式は、相対的に見て価格帯が安く抑えられています。
安いというより、コピーキットを交換する段階で都度料金が発生する契約のため、交換のない月は料金が発生しない場合もあります。
多くの場合、コピー機自体は必要なものの、印刷の頻度はそれほど多くないオフィスで適用されるケースが多いようです。
その他、月々のコピー枚数にバラツキがある会社・事業者が用いることも想定されます。
コピーキット方式でメリットを享受できるケース
単純に考えると、カウンター保守契約に比べて、コピーキット方式を選べば支払いの面で自由度が増すように思われます。
使った分だけ料金を支払うことになりますから、利用する側の都合で予算を決めやすくなります。
しかし、全ての会社で同様のメリットを享受できるわけではなく、利点を最大限得るにはいくつかの条件があります。
以下に、主なものをご紹介します。
印刷枚数が少ない
もともと、普段からコピー機を頻繁に使う習慣がなく、紙ベースでの見積もりを必要とする場合・新商品のプレゼンに紙を使う場合に限り使用するなど、印刷枚数自体が一般的なオフィスに比べて圧倒的に少ない場合は、コピーキット方式のメリットを享受できます。
オフィスですから、自前で購入する家庭用では対応できないケースに遭遇することは多いものと想定されます。
普段使いはそれほど多くないものの、状況によっては頻繁に使うという状況下で、コピーキット方式は力を発揮してくれます。
モノクロ印刷が多い
契約書や見積書などのビジネス文書は、多くの会社でモノクロ印刷をするはずです。
もし、カラーよりモノクロ印刷の需要が自社で圧倒的に多いのであれば、コピーキット方式で費用を安くできるかもしれません。
印刷物の料金体系は、A4紙をどこまで印字したかで判断する「印字率」という概念が適用されます。
よりくだけた言い方としては「ベタ率」という表現が一般的で、紙における「一定の面積で色の付いた面積の割合」を言います。
ビジネス文書は、多くの場合5%を1つの基準として計算することが多く、コピーキット方式では「A4・6%」もしくは「A4・5%」という基準が、印刷枚数の単価計算に適用されます。
よって、文字が比較的少ない文書・顧客が直筆で書くことを想定して空欄を設けている文書を印刷することが多いなら、印字率が抑えられる分トナーが持ち、計算していたよりも安くなる場合があります。
保守契約自体は受けられる
トナーが料金の計算に適用されるため、会社によっては月の支払い額がかからない場合が出てきます。
そうなると、きちんとサービスマンによる保守を受けられるかどうかが不安なところです。
この点については心配の必要がなく、コピーキット方式でも保守契約は適用され、何らかのトラブルが生じた段階で連絡すればサービスマンが駆けつけてくれます。
印刷枚数ごとに相談回数が設けられているわけではありませんから、安心してコピー機を使い続けられるので、保守点検に関しての心配は不要です。
コピーキット方式を選ぶ注意点
コピーキット方式を選んだ場合、カウンター保守契約に比べて損をするケースも少なからず存在しています。
いずれも、使い続けていくうちに深刻化するものが多いため、リース契約を結ぶ場合は十分注意が必要です。
以下に、主なものをご紹介します。
自社で印刷している枚数の多さ
規格・メーカーにもよりますが、トナー1本あたりの印刷枚数は、概ね5,000~20,000枚と言われています。
よって、月単位でこれくらいの枚数を印刷するのであれば、トナーの交換も頻繁になりますし、印刷単価も高くなりますから、カウンター保守契約の方が有利でしょう。
ただ、ここで注意したいのが、コピーキット用のトナーは小サイズのものが多く、想定枚数が1,500~2,000枚というケースもある点です。
それで15,000~20,000円のトナー代を要求された場合、モノクロ単価でも8円以上になってしまうため、自社の印刷枚数の目安は契約前に必ず確認しましょう。
印刷物にコンスタントな質を求めるなら不利
コピーキット方式で料金が安価になるケースは、原則としてモノクロです。
よって、ビジネス文書主体の印刷であれば、枚数が少ないなら有利に働きます。
これは例えば、ワンポイントカラーのような、一部にカラーを使う場合でも有利になります。
カウンター保守契約は、原則として色を入れればカラーと判断されますから、単価としては若干不利に働きます。
トナーに料金がかかっている状況というのは、どちらかというと家庭用に近い感覚で使えるため、例えばエコモードのような印刷でも節約ができます。
しかし、画像を含めたベタ塗のチラシ・フライヤー印刷を行うと、大量にインクを消費するため、使った分だけ費用がかさみます。
毎月とは言わないまでも、カラー印刷を大量に行う状況が比較的多いなら、カウンター保守契約に分があるかもしれません。
そもそも、自社で購入した方がよい?
コピーキット方式は、あくまでも保守契約に関する話であって、コピー機本体のリース料金は別途発生します。
よって、契約期間が満了するまでの間、ランニングコストはかかります。
正直なところ、会社の規模によっては自社購入の方がメリットを感じられるケースも多く、個人事業主や小規模事業者なら費用のかからないデータでのやり取りが増えるため、使う頻度を考えて家庭用で賄った方が得になるかもしれません。
自社購入で済ませるか、それともリースを検討するのか判断するためには、印刷枚数が一つの基準になってきます。
月単位で印刷枚数が200枚を切るようであれば、わざわざ年単位のリース契約を結ぶより、ちょっと値が張っても家庭用複合機を購入した方が、後々の費用節約につながるはずです。
この記事のまとめ
コピーキット方式は、印刷枚数や印刷物の種類によっては、毎月の費用を抑えられる選択肢です。
その反面、きちんとカウンター保守契約の場合と比較検討して考えなければ、長い目で見て損をするおそれもあります。
普段からどのくらいコピー機を使うのか・印刷するのかを把握しておけば、契約時までに正確なコスト感覚をつかめます。
メリットと注意点を見比べた上で、最善の選択につなげましょう。