コピー機の修理や故障・メンテナンス対応について。
代理店との契約とメーカーとの直接契約で何が違うのか。
契約期間中、一度も故障らしい故障をしないコピー機は、どちらかというと少数です。
大抵の場合、契約の折り返し地点となる3年目で不具合を認めるようになり、その頻度も増える傾向にあります。
この段階で、新しいコピー機に乗り換えるか、それとも修理して使い続けるかの選択肢が生まれます。
その際に注目したいのが、故障・メンテナンスの対応力です。
コピー機のメンテナンスは、大きく分けてメーカー対応・代理店対応の2種類です。
多くの会社がどちらにするか悩むポイントでもあり、それぞれにメリット・デメリットがあることから、できるだけ慎重に判断を進めたいところです。
ただ、あらかじめそれぞれのメリット・デメリットを把握しておけば、その分だけ有利に働きます。
この記事では、コピー機の修理や故障・メンテナンス対応を考えるにあたり、代理店・メーカーそれぞれで保守契約を結んだ場合の違いについてご紹介します。
代理店とのメンテナンス契約について
代理店とのメンテナンス契約は、契約できる地域に制限があるケースが多く見られます。
例えば、首都圏・関西圏だけに対応を絞っているところも珍しくなく、メーカーに比べると近い関係性になりますから、色々お願いごともしやすくなるでしょう。
しかし、全国規模で拠点を持つメーカーに比べると、コピー機の修理・メンテナンスの実力はまちまちです。
代理店ごとのレベルの違いだけでなく、担当者レベルでの違いも考慮しなければ、後々になって不満を覚えるかもしれません。
とはいえ、基本的な故障対応ができなければ、そもそもサービスを提供するようなことはどの代理店でも考えませんから、極端にリスクが高いわけでもありません。
まずは、代理店とのメンテナンス契約を結んだ場合、どういったメリット・デメリットがあるのかを解説します。
比較的自社に近い立場のサービスマンが対応する
メンテナンスを請け負っている代理店は、多くの場合、特定の地域を営業範囲としています。
そのため、イメージとして「地域密着型」・「地元との連携を大事にするお店」といった印象が強いかもしれません。
ただ、比較的事業規模が大きな代理店の場合、営業範囲も広くなる傾向にあります。
オフィスが多い地域の首都圏・関西圏や、四国地方など大きな地方ごとに営業範囲を定めている代理店も見られます。
こういった代理店を選んでメンテナンスを依頼する大きなメリットとして、保守に関する柔軟性があげられます。
メーカー側がなかなか提案しにくい部分も親身に相談に乗ってくれますし、コピー機以外の取り扱いについても、業務の範囲で幅広く対応してくれます。
スタッフの人数もメーカーと比較して限られているため、一度ついた担当者が変わることは、そこまで多くありません。
よって、長年の付き合いになると、その分信頼関係も強まっていき、コピー機選び・メンテナンスに関する面倒事が少なくなっていきます。
担当者のホスピタリティによっては、操作方法のレクチャーを受けられたり、新しい使い方を教えてもらえたりします。
また、一般的に土日祝や夜間の対応は別料金となるメーカーとは違い、本当に困った時に助けてくれることもあります。
もちろん、どう考えても無茶なお願いは聞き入れてくれる可能性は低いですが、関係性の深さによっていろいろと便宜を図ってくれるところは、代理店ならではかもしれません。
サービスマンの中には実力者もいる
代理店によるメンテナンスは、お店・もしくは担当者によって能力に差が生じます。
この点が不安でメーカーメンテナンスを選ぶ人も一定数存在しており、実際のところサービスマンの数は限られているため、顧客の側は選びたくても選べないところがあります。
ただ、代理店だからといって、メーカーのサービスマンよりも技術が劣っていると決めつけることはできません。
各種コンテストに参加して成果を出している技術者も一定数存在しており、そういったメンテナンス技術をウリにしている代理店を選べば、不安は解消されるでしょう。
会社の側でも、そういった社員が何人いるのか・どういった賞を受賞したのか・どのくらいの難関だったのかなど、様々な情報を公式サイト等で提供しています。
よって、代理店メンテナンスとメーカーメンテナンスの技術差は、決してかんたんにまとめられるものではありません。
技術レベルにムラがある
代理店メンテナンスが必ずしもメーカーメンテナンスに劣らないとしても、やはり新人はどの会社にもいるものですから、契約を結んだタイミングによっては新人が担当するケースも考えられます。
また、トップクラスの技術を持つ人が、自社の担当になってくれるとは限りません。
つまり、せっかく契約しても、思っていたような形でサービスを受けられなくなるリスクがあります。
特に、保守・メンテナンスに関しては、サービスマン本人の技術に結果が左右されますし、社内の教育体制が整っていなければ技術の継承もスムーズにはいきません。
先にお伝えしたサービスマンコンテストの受賞者も、相対的に見てみると少ないですから、契約条件・プラン・金額などを差し置いて、あえてその受賞者からのサービスを受けたいがために契約を結ぶというのは本末転倒です。
ここが、代理店メンテナンスにおける大きなデメリットであり、各スタッフの技術差を受け入れられるかどうかが、判断の分かれ目となるでしょう。
「代理店だから安い」とは限らない
代理店メンテナンスは、メーカーに比べると相対的に安くなるものと思っている人は多いかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。
すぐに対処できるような問題であれば、フットワーク軽く動いてくれるかもしれませんが、トラブルの内容が大きい・複雑であるといった場合は、その分代理店側のコストも膨らみます。
そういった費用は代理店側の負担になりますから、人件費・パーツのコストをどうするのかが問題となり、結果的にカウンター料金の中にその分を含ませて請求することにつながります。
もちろん、そういったケースはほとんどありませんが、可能性はゼロと言い切れない部分があります。
こういった点を踏まえ、代理店の中には、保守をメーカーに一任しているところもあります。
代理店はあくまでも窓口として対応し、そのような形で金額を抑えているところもあるのです。
メーカーとのメンテナンス契約について
メーカーメンテナンスは、組織が大きい分、トラブルに対して確実に対応してくれる体制が整っています。
コピー機に精通したスタッフが派遣される安心感がありますから、ユーザーとしても安心してメンテナンス契約が結べるでしょう。
大きな組織だと、各地に拠点がありますから、よほどの僻地や離島でない限り、安定してサービスを受けられるでしょう。
ただ、メーカーだからと言って万能というわけではありませんから、対応を絶対的に信頼するのもまた問題です。
続いては、メーカーメンテナンスの各種メリット・デメリットについてご紹介します。
メーカーがサービスマンを派遣する
メーカーメンテナンスは、例えばリコーのコピー機をリースもしくは購入した場合に、リコーがメンテナンスを担当するものです。
他のメーカーも同様で、富士ゼロックス製なら富士ゼロックスが、キヤノン製ならキヤノンが、故障を修理したり部品等の交換をしたりします。
メーカー直々にサービスマンへ知識を注入するので、その分だけ技量が均等になり、しかも平均点も高くなります。
サービスマンのスキルに安定性を求めるのであれば、メーカーメンテナンスが確実という声は一定数存在しています。
代理店にはできないきめ細やかな対応
全国各地に拠点を持つメーカーは、場所を問わずコピー機のメンテナンス対応ができる点で魅力があります。
また、自社製品に関する修理をサービスマンは請け負う形になりますから、代理店と違って技術にムラが生じるリスクは低く抑えられるでしょう。
会社がどこにあってもきめ細やかな対応が受けられるのは、初めてコピー機をリースする場合など、非常にありがたいものです。
相見積もりで交渉すれば、それなりに費用を抑えつつ、良質のメンテナンスを受けることも十分可能です。
代理店メンテナンスは、信頼関係ができあがるまでに一定の時間がかかりますし、技術レベルは個人差があります。
それなら、いつ来てくれても一定の技術レベルが保てるメーカーメンテナンスを選びたいというのは、当然の考えと言えるでしょう。
対応の蓄積が膨大である
コピー機は、比較的メンテナンスを要する機会が多い精密機器の一つです。
また、機種によって故障の細かい部分が異なっているため、サービスマンの目線でチェックした時、同じようで違う症状に出くわすことも多い傾向にあります。
対応記録の蓄積に関しては、やはりメーカーの方が圧倒的に重厚であり、全国各地の情報を吸い上げることができます。
一部の地域でしか活動していない代理店だと、どうしても知識量に差が生じてしまうため、その差を埋めるのは難しいかもしれません。
特に、めったに起こらない事例の蓄積は、代理店よりもメーカーの方が豊富です。
どんな時でも素早く・的確なメンテナンスを受けたいと考えている人は、やはりメーカーメンテナンスを選んだ方が確実です。
融通はあまりきかないし、万能でもない
メーカーメンテナンスを選ぶ際に気を付けたいのは、どんなに大きな組織がバックアップに動いていても、その対応力には限度があるという点です。
離島への対応に限界があったり、集落など山間の地域は対応が遅くなったりと、やはり一部対応が難しい部分もあります。
比較的大きな商業圏がある場合は、そこまで気にする必要はありませんが、地方・企業が少ない地域は拠点が少ないこともあります。
それでも当日対応ができるならまだよいのですが、修理が翌日に延びてしまったり、部品が手に入るまで1週間以上かかってしまったりすると、その間ビジネスが止まってしまうおそれがあります。
料金体系がしっかり決まっているため、夜間の対応・土日祝の対応を依頼した場合、別途料金が発生します。
土日も変わらず営業している事務所は、その分だけ出費がかさんでしまいますから、慎重にメンテナンス先を選びたいところです。
この記事のまとめ
得意分野の違う代理店とメーカーですが、基本的なメンテナンス能力はどちらも備えていますから、深刻に考えることはありません。
ただ、万が一大きなトラブルがコピー機に生じた場合、代理店では十分に対応できないおそれがあります。
逆に、お客さんを待たせていて今すぐ修理が必要な場合などは、代理店の機動力に助けられることでしょう。
どちらも一長一短がありますから、自社の都合に応じて選びましょう。