家庭用と業務用コピー機は何が違ってどう選ぶ?
業務用コピー機を選ぶ印刷枚数や頻度はどれくらいから?

事業規模が小さいうちは、家庭用コピー機で業務に対応しているオフィスも少なくありません。
しかし、規模が大きくなって社員を雇うようになると、そのまま家庭用コピー機を使い続けることに無理が生じてきます。

とはいえ、経営者が家庭用コピー機で事足りると思っていると、なかなか業務用コピー機に切り替える機会がなく、だんだん社員も不便に慣れてきます。
良い機能が揃っている業務用コピー機が安価で手に入る機会があっても、問題意識が薄いために、買い替え・乗り換えを検討する機会が失われてしまうのです。

業務用コピー機を導入することで業務の効率化が図れれば、その分時間にゆとりができ、別のことに時間を使えます。
この記事では、家庭用コピー機から業務用コピー機に乗り換えるべきタイミングについて、印刷枚数・印刷頻度の面などからご紹介します。

家庭用と業務用で、コピー機にはどんな違いがあるのか

買い替え・乗り換えのタイミングについて理解するためには、そもそも家庭用・業務用を比較したとき、コピー機にどのような違いがあるのかを把握する必要があります。

それぞれで特性が違うため、製造された目的・意図を理解すれば、おそらく多くの人が将来的に業務用を選ぶはずです。

家庭用は「印刷の質」にこだわっているものが多い

家庭用コピー機は、趣味的な要素を重視したスペックとなっています。
全てのモデルに該当するわけではありませんが、写真や画像をきれいにコピーすることを目的としているため、印刷のクオリティは高めです。

各メーカーの広告を見ても、高画質・高解像度をウリにしたモデルは多く見られます。
そのため、主にカメラ撮影やパソコンでの画像製作を趣味としているユーザー向けに、メーカーはコピー機を開発・製造しているものと推察されます。

機能を重視し、個人で買える価格帯を想定した結果、どうしても印刷スピードや用紙の種類は限定されます。
そのため、オフィスユースでは不満が生じる要因になってしまうのです。

業務用は「印刷枚数・枚数」にこだわっている

業務用コピー機は、家庭用コピー機ほど画質にこだわっておらず、どちらかというと印刷枚数を上位性能に求める傾向が見られます。
事実、多くのオフィスでは、短時間でどれだけの枚数を刷れるかが重視されます。

大勢の社員が一緒に働く中で、1台のコピー機が頑張ってコピー・印刷を行うわけですから、少しでも故障しようものなら作業が止まってしまいます。
とにかく頑丈であることと、多数の印刷作業に対応できる能力が、業務用コピー機には求められています。

印刷作業を行う人数と、印刷しなければならない枚数の増加が、業務用コピー機を選ぶ一つの境目と言えそうです。

家庭用で代用できる範囲には限りがある

個人事業主やひとり法人・少数精鋭の会社であれば、印刷の規模が少ない限りは家庭用コピー機で代用できるかもしれません。
しかし、枚数が増え、利用者が増えてくると、家庭用コピー機のスペックを超える使い方をすることになるため、故障のリスクも高まります。

また、家庭用コピー機は基本的に買い切りのため、保守サービスがありません。
リース・レンタルの場合は保守対応もありますが、家電量販店などで購入したコピー機は、メーカー・業者に修理を依頼しなければなりません。

予備を買い備えておけるなら問題ありませんが、故障するような使い方をするくらいなら、業務用に買い替え・乗り換えした方が、長い目で見て得をします。
オフィスで使用する以上、家庭用に限界を感じたら、できるだけ早めに対応することをオススメします。

業務用コピー機を導入すべきオフィスの特徴

印刷の面でスペック不足を感じたら、業務用コピー機を導入した方が、オフィス全体のストレスは少なくなります。
また、印刷以外の面で業務用コピー機の方が有利な点もあるため、その点も含めてご紹介します。

FAXを使う頻度が高い

紙ベースで取引を進めるケースは、年々減少傾向にあるとはいえ、一部業種では未だにFAXを使う頻度が高いところもあります。

自動車業界・建築業界などは、図面や重要書類をスピーディーにやり取りするためFAXを用いており、特に中小企業ではメール添付よりもFAXを使うところが多いようです。

契約に関する提出書類も、FAXで送ることを前提に考えられているケースは少なくなく、不動産会社の契約などでもFAXは頻繁に用いられます。
社員のパソコンの習熟度によっては、パソコンを使った取引自体が難しいことも考えられます。

いずれにせよ、家庭用コピー機でもFAXのやり取りができる機種はあるのですが、印刷速度が少ないと大量のFAXに対応できません。
契約に必要な書類をFAXする場合、一度に大量の枚数が送られてくることもあるため、FAXを受信している間に誰かの作業が止まってしまうおそれもあります。

よって、FAX・印刷・コピーという複数の機能を、バランスよくスピーディーに使いたいなら、業務用を選んだ方が確実です。

月間印刷枚数が1,000枚を超える

FAXの受信枚数とも関連があるのですが、月間印刷枚数が合計で1,000枚を超える場合は、家庭用コピー機のスペックを大幅に超えていると判断してよいでしょう。

家庭用コピー機には、実際にどのくらいの枚数を印刷しているのかカウントする機能は備わっていないため、1ヶ月あたりでコピー用紙をどのくらい使ったのかで判断する必要があります。

もし、500枚入りコピー用紙を2袋空けているなら、その月は少なくとも1,000枚は印刷していることになります。
1,000枚を20営業日で割ると、1日あたり50枚は印刷していることになるので、スペックが印刷頻度に追いついていないおそれがあります。

家庭用コピー機は、大量に印刷をかけるとインクの減りも早く、その分だけ作業効率も悪くなります。
詰め替え用インクを使えば、ランニングコストは安く抑えられるものの、モデルによっては使用できないケースもあります。

1,000枚以上の印刷をスムーズに行うには、分速25枚以上の性能が望ましいため、それ以上枚数が増えなかったとしても業務用の方が向いています。
家庭用コピー機は、印刷速度にこだわっている機種が少なく、コピー1枚につき10秒以上かかるものも珍しくありません。

よって、印刷枚数が多い職場では、長い目で見てトナーを使う業務用コピー機を選んだ方が効率的です。
月間印刷枚数が500~1,000枚ほどになるようなら、今後もっと印刷枚数が増えることを見越して、機種変更をオススメします。

印刷物1枚の質よりも、たくさんの量を問題なく刷りたい

月間印刷枚数とも関連性がある話ですが、印刷物の質にこだわらず、とにかく安定して量をこなしたいと考えるなら、業務用を使った方が便利です。
毎日たくさんの枚数を刷るわけではなかったとしても、ある特定の時期にたくさん刷ることがある場合も同様です。

印刷枚数が増えれば増えるほど、家庭用では次第に不都合が生じてきます。
特に、複数人で同じコピー機を使うのは、人数が増えれば増えるほどストレスが増えます。

もともと趣味やプライベートで使うスペックであることを考慮すると、やはり業務用の代用として十分とは言えません。
複数人がいる職場・一度にたくさんの印刷物を刷る職場なら、業務用の導入が急務と考えてよいでしょう。

家庭用コピー機レベルの性能で十分なオフィスの特徴

会社という単位で考えると、業務用コピー機を検討した方がよいケースの方が多そうに思えますが、一概に言い切れるわけでもありません。
環境によっては、家庭用コピー機で十分事足りる場合もありますから、オーバースペックにならないよう注意しましょう。

ネット経由でのやり取りが多い

個人事業主や立ち上げ間もない企業であれば、インターネットの力を借りた営業スタイルを取っているところも多いでしょう。
Web上でやり取りを行うなら、取引先ともメール・チャットなどで連絡を取り合う機会が多くなります。

資料を送付するにしても、メールやチャットならデータを添付するだけで済みますから、わざわざFAXの回線をつなぐ必要はありません。
無駄な出費をできるだけ減らしたいなら、家庭用コピー機で十分という考え方もあります。

月間印刷枚数が500枚を切る

印刷の機会が極端に少ないオフィス、例えば月間印刷枚数が500枚を切るようなオフィスであれば、家庭用コピー機で様子を見てもよいでしょう。
自社で何かを印刷したり、手続き上の必要書類をコピーしたりするだけの用途なら、業務用コピー機をリース・レンタルしてもメリットは少ないはずです。

また、コピー機を使うスタッフが1~2人の場合も、あまり業務用にこだわる必要はありません。
業務内容が幅広くなり、複数人で1台のコピー機を使う段階に入ってから、再度コピー機を見直した方が出費を節約できます。

色やデザインにこだわりがある

業種によっては、印刷物の出来が重要な意味を持つケースも考えられます。
例えば、ライブ情報を載せたフライヤーなど、業務上どうしても画質にこだわりたい場合は、高性能な家庭用コピー機を使うという選択肢もあります。

家庭用で多く使われるインクジェット式は、トナーに比べて色味の再現度が高く、写真などの印刷に適しています。

業務用コピー機が悪いわけではないのですが、やはり印刷物そのものが業務において重要な場合は、必要なものだけ家庭用コピー機で印刷し、細かい部分はメールやチャットでやり取りするのがスムーズかもしれません。

この記事のまとめ

以上、業務用コピー機を導入するタイミングについて、オススメの印刷枚数・頻度についてご紹介してきました。
利用環境によっては、家庭用コピー機で問題ないケースもあるため、自社にとってどのくらいのスペックが最適なのか、オフィス単位で考える必要があります。

一つの目安として、オフィスで働く社員の数が3人以上・月間印刷枚数が500枚を超える状況であれば、業務用コピー機を検討した方が良いものと考えられます。
事業規模に合ったモデルを導入し、作業を効率化させましょう。

  • 公開日:2020.07.20

テーマ:コピー機の基礎

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