業務用コピー機を使う際の無線LANの機能について。
オプションで有料?そもそも必要?無くても大丈夫?
業務用コピー機をパソコンに接続する場合、かつては有線でつなぐのが一般的でした。
しかし、現代の最新機種は無線LAN対応のもの・各種端末と直接接続できるものなどが主流で、リースする場合もケーブルを使わずに印刷ができる機種を選ぶのが一般的です。
ただ、古い機種の中には、そのままでは無線LANに対応できないものも少なからず存在しており、オプションで無線LANコンバーターを使うケースもあります。
オフィスの人員によっては、無線LANがない中で仕事が回るケースも十分考えられますから、一概にすべての会社で用意する必要があるとは言えません。
この記事では、業務用コピー機に無線LAN機能は必要かどうかを判断するための材料として、無線LANと有線LANのメリット・デメリットをご紹介します。
無線LAN機能を業務用コピー機に導入すべきか迷っている人・新機種導入で無線LANを考慮すべきかどうか悩んでいる人は、ぜひ参考にして欲しいと思います。
無線LANは必須ではないが、あると便利
結論から言うと、業務用コピー機の無線LAN機能は、決して必須の機能ではありません。
ケーブルでパソコンとコピー機をつなぐ有線LANでも、人数によっては十分仕事がはかどりますし、セキュリティ面での安全性は無線LANよりも上という意見もあります。
現代のオフィスでも、通信機能に投資の必要がない事業規模であれば、有線LANのまま仕事を行っているところは少なくありません。
重要なことは、有線LAN・無線LANの特徴を理解した上で導入を決定することですから、まずはそれぞれの概要をおさらいしてみましょう。
多くのオフィスで基本となるのが有線LAN
1台のコピー機を一人で使うなら、極論を言えばUSB接続でも事足ります。
むしろ、面倒な手続きを行わなくてもかんたんに印刷ができますから、勝手を考えるならその方が楽でしょう。
しかし、複数人が1台のコピー機を使って印刷するなら、最低でも有線LANを使って複数のパソコンをつないだ方が効率的です。
ケーブルも、選べば長いものが使えますから、比較的遠くのデスクとも連携できます。
パソコン・コピー機ともに、新しい機種は無線LANが使える
コピー機が有線LANのみを想定した機種であれば、そのまま機種のスペックに応じた配線を考えた方が、費用を安く抑えられるでしょう。
しかし、パソコンを新調したり、コピー機のリース期間が切れたりした段階では、今後を見据えて無線LAN搭載の機種を選んだ方が便利かもしれません。
無線LANの接続力は強く、電波が届く限りはどのパソコンからもコピー機にアクセスできるため、デスクの場所に左右されずコピー機を使って印刷できるという長所があります。
構造が特殊で席の配置が大変なオフィスの場合は、利用価値の高い方法と言えるでしょう。
Bluetoothという選択肢もあるが……
有線LAN・無線LANは、それぞれLANケーブル・ルーターを使って、端末とコピー機の間でデータのやり取りを行います。
しかし、このようなお互いを中継する機器などを使わなくても、現代では端末とコピー機の間で直接データのやり取りができる「Bluetooth」という機能もあります。
ワイヤレスのイヤホン・キーボードなどに用いられることも多く、ルーターなどを使わずに通信ができ、消費電力の面でも優秀です。
その分、通信速度が遅く、遠方からの命令をキャッチできないデメリットもあります。
よって、多くのオフィスで現実的なのは、無線LANか有線LANのどちらかでしょう。
ただ、無線LANはどのオフィスでも絶対に必要な機能とは限らず、有線LANで事足りるケースもあることは押さえておきたいところです。
無線LANを選んだ場合のメリット・デメリット
次に、無線LANを実際に選んだ場合のメリット・デメリットをご紹介します。
広い範囲をカバーできるのが大きな魅力ですが、ケーブルをつなげば接続が可能という単純な構造の有線LANに比べると、いくつか注意したい点もあります。
オフィス内なら基本的にどのパソコンも接続できる
無線LANは、目に見えない電波を使ってコピー機とパソコンをつなぐ方法のため、基本的にはどのパソコンからも接続できるようになっています。
デスクのレイアウトによっては、どうしてもコピー機を2台以上置かざるを得ないところも少なくありませんが、無線LANなら電波の強さに応じて接続範囲が大きくなりますから、物理的な環境に使用状況が左右されるリスクが減ります。
また、無線LANを使用できるパソコンをあらかじめ設定しておけば、例えばあえて無線の対象外とするパソコンを設け、それだけは有線でつなぐといった方法を選ぶこともできます。
セキュリティ上、どうしてもオンラインにしたくないパソコンがある場合でも、接続方法を柔軟に選べる点でメリットがあります。
複数の端末から印刷ができる
コピー機の機種によっては、スマホ・タブレットからもコピー機に接続できるため、コピー機の使い方がより自由になります。
例えば、外回りで撮影した資料をオフィスに帰って来てから印刷したり、アプリを経由してオフィス内のスタッフに印刷してもらったりする方法が選べます。
有線LANの場合、スマホやタブレットにつなぐためのケーブルがなく、仮につなげてもデータのやり取りができないケースは珍しくありません。
そのため、モバイル端末を多用するオフィスでは、無線LANの方がいろいろと便利になる場面が多いでしょう。
細かい設定が面倒
パソコンと無線LANを接続するためには、各種ルーターで定められたIDとパスワードを入力し、接続を図る必要があります。
パソコン側に無線をキャッチする機能があるなら、接続時にID・パスワードを入力して接続が完了すればOKです。
しかし、パソコンの中には何らかの理由で電波をうまくキャッチできなかったり、別に無線LAN子機を用意しなければならなかったりすることも多く、トラブルが発生しやすいのも特徴です。
業者が初期設定を行ってくれるケースを除いては、基本的に自社のスタッフで対応しなければならないため、新しく導入する場合はその点に注意が必要です。
トラブル時の対処がやや難解になりがち
無線LANを使ってのコピー機の利用は、どこでも印刷したりコピーしたりできるメリットがある一方で、繋がらないといった時などのプチトラブルの対処がやや難解になってしまいます。
例えば、ノートパソコンなどからデータを印刷しようとして、うまくコピーされない場合、一時的な電波干渉なのか、コピー機の不調なのか、接続不良なのか、無線LANのトラブルなのか、接続機のルーターのトラブルなのかなどなど、考えられる原因が多岐に渡りやすくなります。
電波干渉などで一時的な接続不良などであればすぐ解決しますが、そうでない場合は、実はノートパソコン側の無線機器のトラブルだったのに、コピー機側の設定ばかり見直していたといったケースや、ルーターのトラブルなのに、コピー機の設定を見直していたなど、見当違いの対処をしてしまうこともあります。
ある程度、IT機器やネットワークなどに強い人材が社内にいればすぐ解決できることも、そうでない業種でない事務職などの方が多い場合、繋がらない、原因がわからないとなってしまうこともあります。
わかる人が見たら5分もかからず解決できるトラブルも、ITやネットワークが苦手な方からすれば、1時間や2時間掛かっても解決できないと無駄な時間というコストを払うことになりかねません。
通信状態に不安要素も
有線のように目に見えるケーブルがあるのと違って、無線LANの電波は目に見えません。
そのため、万一電波障害が起こってコピー機との接続が絶たれた場合、そのような事態がなぜ引き起こされているのか分からないまま時間が過ぎるおそれがあります。
例えば、無線LAN本体にトラブルが生じている場合、おそらく電波の範囲すべてのパソコンが印刷できなくなります。
また、別の階のオフィスが通信に割り込んでしまったり、悪意のあるユーザーがデータを盗んだりするリスクもあるため、最新のセキュリティをアップデートする費用も見込まなければならないでしょう。
また、細かい話になりますが、無線LANが2.4Ghz帯を使う場合、この電波は電子レンジなどと同じ電波になってしまいます。
今ではオフィスに電子レンジを置いているといったオフィスも割と多いかと思いますが、この場合、電波が干渉してしまいうまく動作しないといったことが起きる事もあり得ます。
無線LANが5Ghz帯であれば問題ありませんが、使う無線LANのルーターなどの機器や、コピー機が対応している無線LANの規格など、そういった割とIT機器やネットに強い担当者が不在ですと、思ってたようにいかないという事態になってしまう可能性がある点には注意が必要です。
有線LANを選んだ場合のメリット・デメリット
無線LANと違い、接続されている状況が目に見える有線LANは、どこか安心感があります。
ただ、物理的にスペースをとってしまう点は狭いオフィスにとって無視できず、メリットとデメリットの間でどう折り合いをつけていくかが重要になるでしょう。
線が届く限り安定した接続ができる
複数のパソコンに配線する有線LANは、ケーブルが届いている限り、安心して各パソコンがコピー機に接続できます。
無線に比べて通信状態が安定しているため、途中で接続が切れるリスクも少なく、別の階や無線からデータを盗み見られる心配も少ないでしょう。
また、無線LANは情報量の多い通信を苦手とするため、取り扱うデータが大きい場合は有線を選んだ方が効率的です。
配線を増やす場合も、ケーブルやハブを増やすことで問題を解決できるため、配線スペースの自由度が高いなら有線LANに分があります。
通信エラーが発生した要因を特定しやすい
有線LANを使っていて、仮に何らかの通信エラーが発生した場合、その要因を特定しやすいというメリットがあります。
印刷をしようと指示を出しているのに、コピー機がうんともすんとも言わない場合、ケーブルが抜けているのが原因というケースは多いものです。
また、複数のパソコンで印刷指示が反映されない場合は、中継地点であるハブがおかしくなっている可能性もあります。
このように、配線をたどることで原因が分かるのは、有線LANならではの特徴です。
ケーブルはどうしてもかさばってしまう
有線LANを選んだ場合、どうしてもデメリットとして避けられないのが、ケーブルの長さや本数です。
人数分のケーブルが必要になるだけでなく、コピー機との距離感に応じて長さを使い分け、さらに配線をどうするのかを考えてケーブルをつながなければなりません。
社員の人数が多くなればなるほど、ケーブルはどうしてもかさばってしまう運命にあり、デスクの配置もその分変えにくくなります。
よって、コピー機を導入する最初の段階で、人数増に対応できるよう配慮することが求められます。
使える端末に制限がある
LANケーブルを介してコピー機とパソコンは接続できますが、スマホ・タブレットは原則として無線LANでの接続が必要です。
そのため、機動性には乏しく、一度オフィスに戻ってからでないと作業ができないという不便さがあります。
印刷物を用意する必要性が少ない仕事なら問題ありませんが、ちょっとした資料であっても会社に帰って印刷しなければならないというのは、やや非効率です。
スマホ内にあるデータを、一度パソコンに移し替えてから印刷する手間も面倒ですし、これからは無線で使う可能性も想定した機種選びが重要になってくるでしょう。
また、昨今のオフィス向けのノートパソコンも小型化してきています。
場合によっては無線一本でLANケーブルを差し込むところが最初から備わっていないノートパソコンも多くなってきています。
こういったノートパソコンを使っていると、営業マンなどの場合、出先で作った資料をいったん帰社してから印刷しようとなると、億劫になりがちです。
無線対応であれば、そのまま印刷で済みますが、無線対応していなく、LANケーブルを差し込めないノートパソコンの場合、データを別に移してから印刷するなどひと手間必要となってしまいます。
この記事のまとめ
業務用コピー機を使うのに、無線LANを選ぶことは必須ではありません。
ただ、将来的なことを考えると、無視することもできない選択肢です。
有線LANには有線ならではのメリットこそありますが、半永久的にどのオフィスでも不便を感じずに利用できるとは限らず、やはり大所帯になると無線のありがたみを感じるはずです。
自社の現状・オフィスの人数から判断して、無理なく使える方法を選ぶことが大切です。