実際にコピー機はメーカーで大きく変わることも。
コピー機のメーカーそれぞれの特徴や強みを紹介します。

私たちはつい「コピー機」とひとくくりで言いますが、実際にはコピー機にも多種多様存在します。
なかでも、日本国内でコピー機を出荷しているメーカーは、有名無名を問わなければ、数多く存在しています。

コピー機についてよく知らないユーザーは、多数あるメーカーの中から何を選ぶべきか悩むことも多いため、単純に価格帯だけで決めてしまうことも珍しくありません。

しかし、オフィスで使うコピー機というのは、長期にわたりリース物件として使用するわけですから、できるだけこれから使う機種・メーカーについて理解を深めておいた方が、後々の後悔は少なくなるはずです。

この記事では、日本のオフィスでよく名前を耳にするメーカーについて、それぞれのコピー機の特徴・強みについてご紹介します。

富士ゼロックス

富士ゼロックスは、アメリカにあるゼロックスという会社の子会社で、世界で初めて複写機の開発に成功した会社です。
その流れを汲んでいることもあって、コピー機を語る上では外せないメーカーの一つです。

実際、コピー機と言えばゼロックスというイメージを持つ人も多いほどで、日本でコピーが一般的でない時代は、「コピーする=ゼロックスする」と呼ばれていたこともあり、現代でも価格に見合った機能・サービスを備えています。

印刷速度と品質についてはトップクラスで、おそらく使う側が不満を感じることはないでしょう。
解像度も高いため、広告に使うようなグラフィックの印刷にも使えるレベルです。

高機能なだけあって、やはり値段の方はそれなりに高く、モデルを選ばずに購入するというわけにはいかないようです。
ただ、故障のしにくさ・アフターサポートのレベルは高いため、失敗したくないなら富士ゼロックスの機種を選ぶことをおすすめします。

キヤノン

よくクイズやうんちくでも語られる、キヤノンでキャノンではなくキヤノンで文字が小さくなりません。
どちらかというとカメラのメーカーとして知っている人の方が多いかもしれませんが、コピー機・複合機の分野でも、キヤノンは多くのシェアを誇ります。

実際、2017年時点のデータではトップシェアを誇り、海外でも人気があります。
キヤノンの長所は色彩表現の技術にあり、デザイン・印刷のプロが持つニーズを満たせるレベルです。

印刷物自体が商品になる場合・画質が重要な教材などを都度作成する場合などに、キヤノンの画質は重宝されます。

メンテナンスに関しては、全国約170拠点というネットワークを実現しているため、フットワークには期待が持てます。
1台をできるだけ多くの社員に使って欲しい、トラブルをできるだけ早く解決したいと考えているなら、キヤノンを選ぶと安心です。

正直、キヤノンに関してはデメリットらしいデメリットが見当たらなく、あえて言えばハイスペック過ぎて一般企業では必要とされにくい、という点が挙げられます。

解像度は高ければ高いほど良いというわけではなく、あくまでも人間の目から見てキレイかどうかが重要になるため、値段と相談しつつ、別メーカーの手ごろなモデルを選ぶことを想定しておきたいところです。

リコー

日本のコピー機リースにおいて、シェアトップ3に入るメーカーです。
逆に、コピー機や複合機のイメージが強く、それら以外で主要な精密機器の商品をイメージすることが少ないかもしれません。

リコーの機種に関する大きな特徴は「高画質」で、写真印刷の鮮やかさ・グラデーションは他メーカーを圧倒します。
これは印字にも言えるメリットで、文字の読みやすさが評価されています。

また、富士ゼロックス同様、故障に強い・紙詰まりが少ないメーカーとしても知られています。
利用者にとって好評なのはガイダンス機能が優れていることで、きちんとガイダンスに従って行動すれば、サービスマンを呼ぶ必要がないという利用者の声もあります。

こちらも、機能が充実している分だけ価格帯も高い傾向にあり、カウンター保守料金も高めです。
業務の都合上、高性能である必要がない限りは、他メーカーも含めて検討した方がよいでしょう。

エプソン

どちらかというと、家庭用コピー機・プリンターとしてのほうが有名で、意外と法人相手には影が薄い印象を受けるメーカーです。
しかし、インクジェット方式を採用している機種が多く、その特徴が海外で好かれています。

特徴的なのは給紙トレイで、かなりの大容量を一度にセットできるため、大量印刷のニーズがある会社では重宝します。
また、インクジェット方式のメリットを生かし、様々な用紙に印刷できるというメリットもあります。

そういった特徴もあり、個人事業主や小規模オフィスで根強い人気を誇ります。
というのも、本体価格が安いため買い求めやすく、リースの際も価格の面で判断すると有利になります。

ただ、レーザー方式に比べると文字の印刷は粗く見え、インクジェット方式の短所である印刷速度の遅さの影響を受ける点も見逃せません。
印刷ニーズはあるものの、その速度や質にはこだわらないと考える人向けのメーカーです。

京セラ

京セラと言えばセラミックの会社として有名でしたが、2000年から本格的にコピー機事業に参入しています。
ベンチャー企業としての長所を活かし、コスト感覚を研ぎ澄ませた品質に定評があります。

ちょっと変わった機能が搭載されていて、1円単位で経費を切り詰める感覚がなければ、なかなか思い浮かばない機能が数多く存在しています。

例えば、印刷原稿の中に白紙ページがあった場合、それを印刷に含めず次の原稿を印刷できる機能が備わっている機種があるのですが、このような視点を持った機種は中小企業・個人事業主にとって嬉しいところです。

また、本体価格が安いという大きな長所を持ちます。
それに加え、長く使えるよう耐久性を高めており、車で言えば商用車のような頑丈さがあります。

そのため、予算を安く抑えつつも、とにかく長く・多く使うことを考えているなら、京セラを選べば当面のニーズを満たせます。

ただ、そういった細かい機能や頑丈さのために、画質は犠牲にされる機器が多くなりがちです。
スペックの高い機種を扱うメーカーと比較してしまうと、やはりどうしても軽いトラブルは多い傾向にあり、その点がネックになっています。

シャープ

日本人にとっては、コピー機よりも家電の方で有名なメーカーです。
ただ、決してコピー機を二の次にしているわけではなく、家電を作る中で培われた技術はコピー機にも応用されています。

総合家電メーカーでもあり、パソコン・スマホを販売していることもあって、それらのメリットを最大に利用しています。
例えば、スマホなどで使われる技術が応用されており、タッチパネルの使いやすさには定評があります。

また、家電メーカーならではの長所としては、耐久性や全体的な機能のバランスに優れている点も挙げられます。

価格帯も良心的なレベルで、ゼロックスなどの一流どころに比べれば、安価に手に入れられるモデルもあります。
極端に機能を高めることをせず、コピー機を必要とするユーザーが求めているものをまんべんなく取り入れているメーカーと言えます。

印刷機能も充実しており、トナーの独自開発などの試みも行われ、表現力は他メーカーの上位機種に引けを取りません。
ただ、どうしても画質の面では劣ってしまう傾向にあり、このあたりはメーカーとしての優先順位が関係しているものと考えてよいでしょう。

コニカミノルタ

コピー機という印象よりも、写真・フィルム・カメラといった分野では名前をよく聞くメーカーですが、コピー機として必要なものは一通り備えた機種を用意しています。

実はかつてはワープロなども製造しており、オフィスワーカーとして長く勤めている人にとっては聞き馴染みのあるメーカーでしょう。

特徴的なのは、MACがOSとして標準対応している点で、別途追加料金を支払って設定する必要がありません。
実は多くのメーカーでは、対象OSはWindowsのみというところが多く、MAC対応は追加オプションとなっていることも多いのです。

追加オプションとなると、当然、金額も追加となりますからこの点はありがたいメリットです。

もともとカメラ・フィルム事業を手掛けていたこともあって、そこで培われた技術は画質に活かされています。
発色・字の鮮明さに関してはレベルが高いので、印刷物の質にこだわるなら、コニカミノルタ製のコピー機を選ぶのは良い選択肢です。

デメリットに関して触れると、コニカミノルタは上級志向のため、コスパの面では冴えないという点です。
京セラ・シャープに比べると、価格帯は今一つというところなので、金額重視で検討する人には向かないかもしれません。

また、国内のメンテナンス拠点数はそれほど多くないので、メーカーメンテナンスの点では不便を感じるかもしれません。
ただ、一概にコニカミノルタだからといってトラブルの駆けつけ対応が悪いという話ではなく、あくまでも絶対数の話に過ぎませんから、過剰に気にする必要はありません。

東芝

シャープ同様、家電メーカーとして有名な東芝ですが、複合機は海外で高いシェアを誇っています。
日本市場に深入りしていないのは、あえてそのような戦略を取っているのではないかという声もあります。

特に大きなメリットとしては、東芝の指定する範囲において、紙以外に印刷ができる点です。
「オンデマンドクリアホルダー/プレコ」という東芝指定のクリアホルダーが、特殊用紙扱いとなっていて、オリジナルのクリアホルダーが作成できます。
耐水紙・耐水シール・和紙シール・マグネットシートなどにも印刷ができるので、オリジナリティの高い印刷物を作りたい場合に便利です。

デメリットとしては、故障・紙詰まりの回数が多い傾向にある点で、耐久性にやや難があるという意見があります。
肝心のサポートも、地域によってはすぐに修理ができないこともあるようで、首都圏以外では不便に感じられるかもしれません。

この記事のまとめ

以上、メーカーごとのコピー機の特徴・メリット・デメリットなどをご紹介してきました。
今回お伝えした内容はあくまでも概要であり、選んだモデル・年式によっては、必ずしも評判通りとはならない場合があります。

それでも、各メーカーには比較的分かりやすい特徴があり、上級志向か価格重視か、あるいはバランスの取れた機種を購入するのか、ユーザーの希望に応じて選び方も変わってきます。

メリット・デメリットを比較検討し、最終的には自社で納得できるものを選ぶことが大切です。

  • 公開日:2020.05.27

テーマ:コピー機の基礎

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