キヤノンのコピー機の特徴について。
他社との違いや料金や修理、故障などについて

コピー機メーカーというよりも、カメラメーカーとしてのイメージが強いキヤノンですが、日本ではリコー・富士ゼロックスに並ぶシェアを誇ります。
現代のコピー機市場では、各メーカーの基本性能に大きな違いは見られなくなってきていますが、やはりメーカーごとに特徴が異なります。

キヤノンは古くからコピー機に携わっているメーカーの一つということもあり、こだわりが比較的分かりやすいのが特徴的です。
この記事では、キヤノンのコピー機の特徴について、他社との違い・料金・修理・故障といったポイントごとに、気になる点をご紹介します。

キヤノンと言えば「写真」のイメージ

キヤノンというメーカーに対して、カメラ・ビデオカメラなど「写真や動画を撮影する機器を販売するメーカー」という印象を持つ人は多く見られます。
そのイメージは概ね正しいもので、キヤノンはカメラの分野から成功を収めたメーカーとして知られています。

もともとは研究所だった

現在のキヤノンが株式会社になったのは1937年のことで、当時は精機光学工業株式会社という名前でした。
その前身となったのが、高級小型写真機の研究を目的とする精機光学研究所です。

商標として知られる「CANON」が出願された後、1940年に国産初のX線間接撮影カメラを開発したり、1955年にニューヨーク支店を開設したりと、実績を積んで挑戦を繰り返しました。
海外を視野に入れていた点は、その後のコピー機作りにも少なからず影響を与えていたものと推察されます。

「日本オリジナル」のコピー機製造メーカー

キヤノンが国産のコピー機「NP-1100」を開発したのは、1970年のことです。
日本にコピー機を持ち込んだのはゼロックスですが、完全に日本企業が独自の技術によって開発したコピー機は、これが初めてのことでした。

キヤノンが複写機を開発するまで、特許を持つゼロックスがすべてのシェアを握っていたため、技術者が特許網をクリアするのは難しかったようです。
しかし、当時キヤノンにいた技術者の必死の努力が実り、欧米のモノマネ扱いされていた日本のモノづくりを世界に認めさせることに成功しました。

ある種「執念」に近いレベルの努力で特許を勝ち取ったエピソードは、今なお多くの技術者に感動を与えています。

幅広い製品開発に携わるメーカー

キヤノンが製造している機器は、カメラやコピー機だけではありません。
その他にも、幅広く商品を開発・発表しています。
国産初の半導体焼付装置「PPC-1」・オフィスコンピューター・身障者用携帯テープライター・ローマ字入力採用の日本語ワープロなど、数多くの商品が開発されました。

商品が増えていく中、会社も事業部制を導入するほどに大きくなりましたが、特許出願の数は増え続けており、特許公報によると2019年の出願公開件数ランキング・特許取得件数ランキングは国内第1位となっています。
日本企業の中でも、これだけ挑戦する気概をひしひしと感じる会社はそう多くありません。

しかし、決して無軌道に開発を進めているわけではなく、それぞれの分野で基礎を押さえた開発に臨んでいるのが印象的です。
コピー機の分野で一例をあげると、クラウド化・新機能開発の流れよりも、コストやセキュリティの面を重視する傾向にあります。

決して格安機というわけではありませんが、費用対効果を考えた際に満足できるモデルを使用したい人にとって、キヤノンはおすすめできるメーカーの一つです。

キヤノンの特徴はやはり「画質」にある

カメラの商品開発からスタートしていることもあって、キヤノンのコピー機は画質にこだわりが感じられます。
仕事でカラー印刷を多用する・顧客にパンフレットや資料を渡す機会が多いなどの事情がある場合は、キヤノン製のメリットを享受できるはずです。

真価を発揮するフルカラー印刷

キヤノンは、日本独自の技術で普通紙の複写機を開発しています。
また、カメラメーカーとしての実績から、印刷技術の中でもカラー印刷に関しては妥協が許されなかった側面があります。

顧客のイメージ像をどこまで意識したかは分かりませんが、やはりキヤノン製を利用する人の多くは画質を評価する傾向にあります。
特に、一般企業よりもプロから評価されることが多いようです。

商品となる製作物を印刷する場合、一般的な業務用複合機では十分な画質での印刷ができないことも珍しくありません。
しかし、キヤノン製を使えば細部までしっかり再現してくれるため、プロの間では人気があります。

高品質の印刷を実現できているのは、写真の現像などに長く携わっていたことも関係しているものと推察されます。
現代では、写真やチラシ・名刺などは自社で印刷することもできますが、やはり出来栄えを比べるとプロの方が圧倒的にきれいな仕事をしてくれます。
キヤノンは、オフィス・顧客を支える「プロにこそ使って欲しいコピー機」をラインナップしていると言えるでしょう。

文字や点の印刷まで美しい

キヤノンの機種は、画像の印刷だけに特化して質を高めているわけではありません。
オフィスで使用する場合も、その印刷性能の恩恵を受けることができます。

画質が高いということは、当然ながら文字の印刷に関しても質の高い印字ができることを意味しています。
分かりやすいのがFAXの鮮明さで、文字のつぶれ・不鮮明さを抑えるカラースキャン機能を備えている機種があります。

また、一般的にコピー機の印刷を考える場合、線という単位で画像をとらえるケースが多いと思いますが、キヤノンは「点」レベルで印刷の設定ができる機種もあります。
用紙の質感・ドットの細かさなど、まるで画家のような精度で印刷を実現してくれます。

性能のバランスも良いが、特徴に欠ける

このように、印刷物の画質に関しては高い評価を得ているキヤノン製コピー機ですが、その他の機能がおざなりになっているわけではありません。
基本的な操作性能に関して、他のメーカーと比較して扱いにくいという声は聞こえてきません。

ただ、画質以外の特徴に欠ける点は否めず、印刷物に対してそこまで画質の良さを求めないユーザーであれば、オーバースペックに感じられるかもしれません。
色調の正確さが仕事に影響する業種を除いて、高解像度機種を用意するメリットはそう多くありませんから、リース料を安く済ませたいユーザーにとっては、別のメーカーの方が魅力的に映るはずです。

コスト面で比較すると、富士ゼロックスよりも安く、シャープ・リコーよりも高いといったところですから、キヤノンは第一希望にするのにふさわしい性能を持っていると考えてよいでしょう。
差を分かりやすく比較するためにも、他のメーカーから見積もりを取って、安さと性能のバランスを比較して決めることをおすすめします。

使い勝手や修理・故障の面でキヤノンはどうなのか

基本性能・画質に文句が出なかったとしても、本体の耐久性がもろかったり、トラブルが発生した際の対応が遅かったりすると、使い続けることに不安を感じてしまうはずです。
リース契約を結ぶ前に、キヤノン製コピー機の使い勝手・故障時の修理対応などについても知っておきましょう。

サービスマンやオペレーターのレベルは高い

ユーザーの評価を確認する限り、サービスマン・オペレーターの評価はともに高い傾向にあります。
対応の依頼をしてからサービスマン到着までの時間に地域差はあるものの、迅速に対応してくれたと評価するユーザーが多いようです。

コールセンターの電話対応も、総じて丁寧なやり取りであること・相手の都合を考えた対応ができることなどが評価されており、安心して修理を任せられるレベルにあると考えてよいでしょう。
スムーズな引き継ぎ・顧客が困っていることを先回りして提案するなど、高い対応能力を持つオペレーターに対する感謝の声も聴かれます。

一部地域では、電話連絡自体はつながるものの到着までに時間がかかったり、本社の担当者を一度はさんでやり取りしなければならなかったりすることもあるため、そのようなケースでは低い評価をするユーザーも見られます。
しかし、対応自体は総じて質の高いものが多く見られ、修理・故障対応などは安心して任せられるメーカーと評価できます。

拠点の数は安心できるレベル

リコーや富士ゼロックスに比べると少ないものの、キヤノンは全国に拠点を持っています。
北は北海道から南は沖縄まで、支店・営業所を構えていますから、基本的にどの地域でも手厚いサポートが受けられます。

ただ、一口に全国といっても広いので、営業所のない市町村もあります。
拠点数については、都道府県によってリコー・富士ゼロックスの方が多い地域もありますから、契約前に自社の所在地に近い拠点があるかどうかを確認した方がよいでしょう。

不満ゼロというわけではない

性能面では抜けのないキヤノン製ですが、口コミを見る限り、100%不満ゼロというわけではありません。
個体差はあるものと思いますが、紙詰まりが多い・詰まった紙を自力で取り除くのが難しいという声が、比較的多く聞かれます。

また、サービスマンが早く対応してくれるのはよいものの、肝心の修理技術は営業所によってムラがあるようです。
代理店メンテナンスだけではなく、メーカーメンテナンスに対しても不満を述べるケースが見られることから、故障の度合いによってはサービスマンの技量に不安を感じる人も出てくるでしょう。

その反面、能力のあるサービスマンは、電話で症状を聞いただけで故障原因が分かったり、故障をかんたんに直してくれたりするので、新機種の入れ替えがしばらく不要になるメリットもあります。
人は選べませんが、キヤノンのコピー機自体がそれなりに頑丈なので、頼れる人に当たれば再リースも検討できるかもしれません。

この記事のまとめ

カメラの開発からスタートした会社ということもあって、キヤノンは画質の鮮明さ・再現度の高さに定評があります。
また、日本オリジナルのコピー機を開発した技術力の高さは、現代でも特許取得件数の多さという形で引き継がれています。

メンテナンス対応は、総じて迅速・丁寧な対応が期待できるため、サービスマンの個人差があることを除いても信頼度は高いでしょう。
オフィスユースはもちろん、印刷物が商品となるプロの仕事を支える実力も備えていますから、安心できるメイド・イン・ジャパンのコピー機を使いたい人にはおすすめのメーカーです。

  • 公開日:2023.12.14

テーマ:各コピー機メーカーの特徴

タグ :

この記事を読んだ人におすすめの記事

コニカミノルタのコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
フィルム・写真のイメージが強いコニカミノルタですが、現代ではワープロ・コピー機などOAの分野で有名な企業です。 コピー機に関しては、経営統合する前のミノルタが1960年に複写機を完 ...

富士フイルム(富士ゼロックス)のコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
顧客のみならず、同業者からも一目置かれるメーカーの一つが、富士フイルム(旧:富士ゼロックス)です。 会社創立の経緯も含め、古くからコピー機の世界に携わってきたことから、日本のコピー ...

リコーのコピー機の特徴について。他社との違いや料金や修理、故障などについて
国内コピー機市場の中で、上位シェアを争う企業の一つがリコーです。 ユーザーの満足度が高い傾向にあり、保守サービスの対応スピード・レベルが高い点も大きな特徴の一つに数えられます。 古 ...

京セラのコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
会社名よりも経営者の名前の方が有名な企業はいくつかあるものですが、京セラはその中の一つに数えられるかもしれません。 名誉会長の稲盛和夫氏は、経営不振に陥った日本の翼・JALの救世主 ...

エプソンのコピー機の特徴について。他社との違いや料金や修理、故障などについて
エプソンと聞くと、どちらかというと個人向けコピー機・プリンターのイメージが強く、法人・オフィス向けのコピー機には本腰を入れていないイメージが強いのではないでしょうか。 しかし、現代 ...