エプソンのコピー機の特徴について。
他社との違いや料金や修理、故障などについて

エプソンと聞くと、どちらかというと個人向けコピー機・プリンターのイメージが強く、法人・オフィス向けのコピー機には本腰を入れていないイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、現代のエプソンでは「スマートチャージ」のような新しいサービスを立ち上げており、インクジェット式のメリットを打ち出した新しいメリットを提案しています。

インクジェット式のコピー機は、印刷スピードが遅いなどの理由から、かつては法人向けとは評価されていませんでした。

その反面、解像度が高い・本体価格が安いなどのメリットもあり、印刷物の出来が仕事で重要な意味を持つデザイン事務所などでは重宝されます。

エプソンのコピー機を導入しようと思うなら、インクジェット式のメリット・デメリットを理解した上で、他社製品を比較する必要があります。

この記事では、エプソンのコピー機の特徴について、他社との違い・料金・修理・故障等の観点から解説します。

エプソンの歴史は他メーカーと比べて独特

コピー機メーカーの多くは、オフィスユースを念頭に置いて開発されています。
しかし、エプソン製の機器がヒットしたのは、個人向けの機種でした。

その点で、エプソンの歴史は他メーカーと比べて独特と言えるかもしれません。

正式名称は「セイコーエプソン株式会社」

エプソンというのはブランド名で、正しい会社名はセイコーエプソン株式会社です。
セイコーと聞くと、おそらく時計のブランド「SEIKO」を連想すると思いますが、そのイメージは正しいものです。

セイコーエプソン株式会社は、長野県諏訪市に本拠地を構えています。
前身となった有限会社大和工業が1942年に創業されると、1956年にはオリジナル機械式時計の「セイコー マーベル」が誕生します。

1959年には工場を譲り受け、株式会社諏訪精工舎となり、諏訪市およびその周辺地域で腕時計を一貫して生産する体制を構築します。

その後、世界初の小型軽量デジタルプリンター・会計事務専用コンピューターなどを開発し、1984年には商用化第1号のインクジェットプリンターが登場します。

ちなみに、インクジェットプリンターを開発していた時期は、諏訪精工舎・信州精機という2つの会社がプリンタ事業を担当していました。

その後、信州精機の称号がエプソン株式会社となり、やがてこの2社が1985年に合併したことで、セイコーエプソン株式会社となりました。

インクジェット機のイメージを打ち破ったメーカー

個人向けのインクジェット・プリンタ市場では、エプソンは広く名前を知られるブランドです。特に「Colorio(カラリオ)」の名称は、TVCMなどでよく見かけたという人も多いと思います。

1996年に登場したモデル「Colorio PM-700C」は、当時あまりの人気から化け物扱いされた機種です。プリントヘッドから飛び出すインクの量を減らし、インク粒を微細なものにして、精密な画質を実現しました。

また、インクの色にもこだわり、ブラック・イエロー・シアン・マゼンタの他、ライトシアン・ライトマゼンタの2色が追加されました。その上で、印刷速度を従来の2倍にまで引き上げ、エプソン製プリンターの人気を不動のものにしたのです。

法人向けシェアは低い傾向にある

個人向けプリンターが売れている一方で、エプソンの法人向け機種は、日本国内のシェアが低い傾向にあります。

スピーディーな対応が難しいこと・トナー式と違って1枚あたりの印刷コストが高くなることを危惧して、インクジェット式であることを敬遠する会社は少なくありません。

そのため、シェアだけを見れば、富士ゼロックス・キャノン・リコーなどはもちろん、シャープ・コニカミノルタ・京セラなどの会社からも大きく差を付けられています。

しかし、決して性能そのものが悪いわけではなく、条件次第ではインクジェット機ならではのメリットを享受できます。

目に見えにくい部分ではありますが、インクジェット機は電力消費量が少ないという特徴を持っているため、1ヶ月あたりの印刷量によってはトナー式よりも得をする場合があります。

インクジェット式が誇る「画質の良さ」も味方につけることができますから、印刷物の量より質を重視する場面が多いようなら、検討の価値は十分にあります。

エプソン製コピー機の鍵を握るサービスについて

法人向けのエプソン製コピー機は、インクジェット式というハンデこそ背負っているものの、決してサービス・商品の質が悪いわけではありません。
続いては、エプソン製のコピー機が持つ性能と、サービスに関する情報をお伝えします。

インクジェット式ならではのメリットとは

法人向け複合機で、インクジェット式を前面に打ち出しているメーカーは少ないものの存在しており、エプソンもその中の一つにカウントされます。小さいモデルでも、プリントスピードは比較的早く、分速24~25枚という機能性を確保しています。

また、インクジェット式は部品点数が少ないため、メンテナンスの手間・時間が短縮できます。

インクには顔料インクが用いられており、文字の解像度・設計図などの再現性も高く、印刷物が水・マーカーによるにじみの影響を受けにくいという特徴もあります。

構造がシンプルなこともあって、電力消費量も少ない傾向にあります。
使い方をきちんと検討した上で導入すれば、トナー式に引けを取らない活躍も期待できるのです。

エプソンの「スマートチャージ」

エプソンが用意した法人向けサービスとしては、ユーザーのプリント・コピー使用状況に合わせて最適なプラン・機器を選べる「スマートチャージ」が知られています。

サービスプランは、大きく以下の3つに分かれています。

  • <PX>シリーズA4モデル A4複合機/プリンター カラー
  • <PX>シリーズA3モデル A3複合機/プリンター カラー
  • <LX>シリーズ 高速A3モデル/プリンター カラー/モノクロ

グレードが低いモデルは、月々の費用が定額になる「オール・イン・ワンプラン」が適用されますが、グレードが上がるとインク・保守サービスを都度購入・契約する「インク・スタンダードプラン」や、いわゆるカウンター料金制となる「カウンター・チャージプラン」が選べます。

枚数としては、月間1,000~5,000枚ほど印刷する想定の会社が恩恵を受けやすく、LXシリーズなら分速60枚以上の印刷性能を持つ機種を選べます。

これは、今までのインクジェット式に比べると圧倒的な速さで、最大で分速100枚を実現しているモデルもあります。

LXシリーズには、ADF・自動両面印刷機能・ネットワークの無線対応など、オフィスユースを便利にする機能が一通り備わっています。

基本的には、モノクロで月5,000枚を上限に印刷する会社向けのプランとなっていて、ある程度オフィスに人数がいても、印刷枚数に余裕があります。

PXシリーズを選んだ場合は、グレードによって基本印刷枚数が変わってきます。
A4モデルはモノクロ1,000~1,200枚ほど、A3モデルは2,000~2,400枚ほどが一つの目安になります。

価格が高く、途中解約できないのがデメリット

ここまで説明してきた内容を読む限り、トナー式よりもメリットが大きいと感じた人もいるかもしれません。しかし、やはりトナー式が多くのオフィスで導入されているのには理由があり、性能面・価格面で不安を感じるケースは多いようです。

一例として、オール・イン・ワンプランの契約期間を見てみると、5年契約ならもっとも安いプランで月額5,000円となりますが、3年契約なら月額8,300円になります。
いずれも、基本印刷枚数は、モノクロ1,000枚・カラー400枚が基準です。

高速機になると、基本印刷枚数が「モノクロ5,000枚/カラー2,000枚」で月額35,000円といったプランも登場し、正直トナー式の類似モデルと比較してもランニングコストが高いという印象です。

しかも、中途解約金は「残存年数の基本使用料の9割」と大きな額になるので、一度契約すると3~5年間は不満を感じても身動きが取れなくなります。

金額を細かくチェックした結果、印刷速度24枚~60枚の間にあるモデルを別メーカーで探した方が、予算面・機能面で折り合いが付くケースも多いでしょう。

結局のところ、印刷の質にこだわるなどの特別な理由がない限り、多くの人がエプソンのコピー機に魅力を感じないのは自然なことのように思えます。

導入した人の満足度は高い

費用面では高くつく可能性があるエプソンのコピー機ですが、意外にも導入した人の満足度は高いことが分かっています。印字のきれいさ・プリントの仕上がりを評価する声は多く、やはり画質の良さは評価の対象になっているものと思われます。

また、サイズが相対的にコンパクトである点も、使い勝手の良さを評価されています。以前の機種に比べて、インクの補充も少なくなったとの声もあります。

気になる意見としては、メンテナンスの回数が多いという点があげられます。
トナー式に比べて単純な構造になっている分、大きな故障にこそならないものの、問題が解決するまでに時間がかかるケースも多いようです。

プランの構成上、オフィスでの作業内容が変わって印刷枚数に変動が生じてしまった場合、枚数の増減が発生すると損をしてしまいます。導入後に仕事内容や印刷枚数が変わると、結果的にコスパが悪くなってしまう可能性がある点は、考慮しておいた方がよいでしょう。

この記事のまとめ

エプソンは、法人には不向きとされる、インクジェット式のラインナップを備えているメーカーの一つです。

一般的な用途・印刷枚数で利用を検討すると、どうしても他のメーカーのプランと差がついてしまいがちですが、画質の良さやメンテナンスの手間など、トナー式と比べてメリットを感じる部分も少なくありません。

印刷物の質が業務上重要になるなど、あえてエプソンを選ぶ理由があるなら、法人向けプランを検討するのも一手です。

幸いにして、導入した人の評価は高い傾向にありますから、今後に期待しつつ無理のないプランを検討してみてはいかがでしょうか。

  • 公開日:2024.04.09

テーマ:各コピー機メーカーの特徴

タグ :

この記事を読んだ人におすすめの記事

コニカミノルタのコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
フィルム・写真のイメージが強いコニカミノルタですが、現代ではワープロ・コピー機などOAの分野で有名な企業です。 コピー機に関しては、経営統合する前のミノルタが1960年に複写機を完 ...

シャープのコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
シャープというメーカーは、どちらかというと「家電のシャープ」というイメージが強いかもしれません。 しかし、コピー機の分野でも良品を数多く世に送り出しており、その歴史も40年以上と長 ...

富士フイルム(富士ゼロックス)のコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
顧客のみならず、同業者からも一目置かれるメーカーの一つが、富士フイルム(旧:富士ゼロックス)です。 会社創立の経緯も含め、古くからコピー機の世界に携わってきたことから、日本のコピー ...

京セラのコピー機の特徴。他社との違いや料金や修理、故障について
会社名よりも経営者の名前の方が有名な企業はいくつかあるものですが、京セラはその中の一つに数えられるかもしれません。 名誉会長の稲盛和夫氏は、経営不振に陥った日本の翼・JALの救世主 ...

キヤノンのコピー機の特徴について。他社との違いや料金や修理、故障などについて
コピー機メーカーというよりも、カメラメーカーとしてのイメージが強いキヤノンですが、日本ではリコー・富士ゼロックスに並ぶシェアを誇ります。 現代のコピー機市場では、各メーカーの基本性 ...