富士フイルム(富士ゼロックス)のコピー機の特徴。
他社との違いや料金や修理、故障などについて

顧客のみならず、同業者からも一目置かれるメーカーの一つが、富士フイルム(旧:富士ゼロックス)です。
会社創立の経緯も含め、古くからコピー機の世界に携わってきたことから、日本のコピー機・複合機市場においては本家的存在と言えます。

今は富士ゼロックスではなく、富士フイルムビジネスイノベーションという社名に変わり、ロゴも富士フイルムのロゴに切り替わっており、富士フイルムのコピー機となっています。

他社と一線を画す性能・サービスを提供し続けており、サービスマンや各種部品の質も高いことで有名です。
この記事では、そんな富士フイルム(富士ゼロックス)のコピー機について、他社との違い・料金・修理・故障への対応など、複数の点にスポットを当ててご紹介します。

コピー機の「元祖」はゼロックス

そもそも論にはなりますが、富士ゼロックスという株式会社は、「富士写真フイルム」とイギリスの「ランク・ゼロックス社」という2社が合弁して立ち上がった会社です。
その後1962年に、普通紙複写機「富士ゼロックス914」を国内で販売するようになります。

ただ、この2社が一緒になって複写機を開発したわけではなく、その前の段階で複写技術が開発されていました。
富士ゼロックスの特異性を説明するために、まずは複写機の歴史についてご紹介します。

アメリカ発の複写技術

現代で主流となっているコピー機を作るのに必要な「複写技術」が生まれたのは、アメリカでした。
発明者は、名前をチェスター・F・カールソンと言い、結核で父と母を亡くした苦労人です。

働きながら実験を続けた結果、彼は1938年に複写を成功させました。
ただ、その理論は当時非常に難解なもので、時の海軍でさえも理解できなかったと言われています。

十数社を巡った結果、現在のゼロックス社に技術を買い取ってもらい、その後実用化に向けた取り組みが進みました。
最終的に技術が広く公開されたのは1948年で、ギリシャ語で「乾式」という意味の「ゼロス」にちなみ、当時はゼログラフィーと呼ばれていました。

「ゼロックスする」が導入期の知名度

1959年に、小型複写機「Xerox914」が販売されると、発売後3年で1億ドルを超える売上を記録します。
その波は経済成長を続ける日本にもやって来て、富士ゼロックスが日本に複写機を導入しました。

ただ、この頃はコピー自体があまり一般的ではなく、どちらかというと高級機材という位置付けだったことから、機器を導入できる組織・会社も限られていました。

例えば、官公庁や大企業などでは導入できても、中小企業で導入できないケースは珍しくなかったのです。

そもそも、コピーという単語自体が社会に浸透しておらず、コピーすることを「ゼロックスする」と話す人がいたほどです。
日本では、ゼロックスという言葉が、コピーと同じ意味として理解されていた時代があったのです。

他社と異なる富士ゼロックスのポリシー

コピー機の中でも高級なイメージの富士ゼロックスですが、そのイメージを裏切らないポリシーがあります。
それは「壊れないように保守を行う」という考え方です。

他メーカーやメンテナンス代理店は、ユーザーのコピー機が壊れた・異常が発生した段階で連絡を受け、駆けつけて対応するのが一般的です。

これに対して富士ゼロックスでは、ユーザーのコピー機を動かし続けることを重要視しているため、壊れる前に問題を解決することを前提に設計されています。

実際に調子が悪くなってしまった場合の対応も、代理店任せでなくメーカー主体で行われているため、レベルが一律だという評価もあります。
こういった一つひとつの積み重ねが、日本におけるシェア上位確保につながっているものと考えられます。

すべてにおいて一流を目指すメーカー

コピー機メーカーだけで比較した場合、富士ゼロックスはすべてにおいて一流を目指すメーカーと言っても過言ではないでしょう。
もちろん、使う側にもそれ相応の負担は求められますが、それを補って余りあるメリットがあるからこそ、ユーザーに信頼されていると考えるのが自然です。

値段が高いのには理由がある

先に富士ゼロックスのデメリットを伝えてしまうと、その高い性能・サポート体制の代償として、本体価格・カウンター料金などは高い水準にあります。

もちろん、細かくスペックを見比べていけば、機能と価格に大きな差が見当たらないモデルも見つかりますが、価格帯を理由に決められるほど安いモデルはないと考えた方が賢明です。

値段が高いのにもそれ相応の理由があり、操作性・印刷枚数・性能・サポートなど諸々の面でアベレージが高いため、他社と比較して安定した状態で使える期間が長くなります。

メーカーとして正当な金額をユーザーに請求しているに過ぎず、ユーザーがこの点をどうとらえるかが、リース契約を結ぶかどうかの分かれ目になるでしょう。

対価を支払うことに納得できれば、富士ゼロックスのコピー機に対する満足度は高いはずです。
印刷速度も分速70枚といったハイスペックモデルが選べますし、ファーストコピータイムも3~4秒台と短く、さらには画質も高いレベルの解像度を誇ります。

印刷の質やコピー機の性能に妥協できない・一定のレベルを落とせない理由があるなら、まずは一度富士ゼロックスを検討してみましょう。

わずかな異常も見逃さず、耐久性も高い

富士ゼロックス製のコピー機は、ユーザビリティを高めることに腐心しており、部品や構造の質が高いことで有名です。

一例として、富士ゼロックス製の複合機にはすべての部品にセンサーが取り付けられており、仮に一部のパーツがほんのわずかに遅れただけでも本部が情報を把握しているという話があります。

もともと数多くのユーザーが利用しているメーカーですから、各部品ごとのデータも取りやすいため、そのデータを活用して故障が起こる兆候を察知し、事前に対応しているものと推察されます。

積み重ねたデータをもとにサービスマンが対応する分、ユーザーの不安要素も少なくなることでしょう。

また、富士ゼロックス製のコピー機は、車で言えばドイツ車のような「頑丈なフレーム」を持っています。
フレームがゆがむと、将来的にトラブルが起こりやすくなり、故障が頻発する原因となります。

コピー機の修理は、不具合が起こった部品を交換することが主ですが、使い続けるうちにフレームがゆがんでしまうと、コピー機自体に無理がかかり部品交換だけでは乗り切れなくなります。

そのため、富士ゼロックスでは法定耐用年数である5年を無事に乗り切れるよう、フレームを頑丈に作っているのです。

文句のないスペックを使いこなせるか

スペック自体は非常に高い富士ゼロックス製のコピー機ですが、問題になってくるのが費用対効果です。
個々の機能が充実しており、それでいて全体のバランスも整っている状態が、かえって一部のユーザーにとっては過剰性能に感じられる場合があります。

例えば、印刷の機会が頻繁な編集プロダクション・印刷物そのものが商品の一部となる学習塾など、機能を十分に活用できる業種であれば問題ありません。
しかし、中小企業のオフィスに設置したとしても、宝の持ち腐れになってしまうおそれがあります。

事業規模や業種など、富士ゼロックス製のコピー機を使うことでメリットが得られるかどうか、契約前に自社の状況をある程度把握しておく必要があります。

当然ながら評価も高い

コピー機の性能を高めることに力を注ぐ富士ゼロックスにとって、高い評価が集まるのは当然のことかもしれません。
事業規模の観点から考えて厳しいケース・金額の面で手が届かないケースは十分考えられますが、質の面で不安要素はほとんどないと考えてよいでしょう。

弱点らしい弱点が見当たらない

他のメーカーは、弱点を補う形で長所を研ぎ澄まし、ユーザーにメリットをアピールします。
例えば、京セラなら価格・頑丈さ、エプソンなら画質といった具合です。

しかし、富士ゼロックスのモデルは基本的に全体のバランスが良く、性能面で弱点らしい弱点が見当たりません。
もちろん、モデルごとの性能差は見られますが、値段とスペックを比較して購入するのはどのメーカーも同じですから、特筆すべき問題ではないでしょう。

実はユーザビリティも充実

基本性能だけでなく、オプションなどの面でもユーザビリティを考えた機能が充実しています。
操作性を向上させる角度調整パネル・プリント完了時の光や音など、ユーザーの使い勝手を考えた設定が用意されています。

環境面では、電力消費を抑えCO2排出量を減らすなど省エネにも配慮しており、機器のレベルが高いという印象を与えます。
ただ、それがすべてのオフィスにおいて評価されるかどうかは、意見が分かれるところです。

コピー機としての基本性能さえ備えていればよいと考えるユーザーと、利用する際の快適性にこだわりを持っているユーザーとでは、チェックポイントが自ずと異なります。

せっかくユーザーのことを考えて最先端のタッチパネルを備えたとしても、その会社にいる社員が使いこなせなければ意味がありません。
あくまでも、性能面の充実だけを追うのではなく、自社にとって必要十分な性能かどうかで判断することが大切です。

サポートの面でも平均点は超えている

コピー機の設計思想自体が他社と異なる富士ゼロックスでは、もちろんサポートのレベルも一段違います。
トラブルが起こった際の対応は迅速で、地域によっては数分でいつサービスマンが到着するか分かるそうです。

主に都市部での対応が早く、地方になるとやや遅くなる傾向が見られます。
離島になると担当者と連絡がつかないケースもあるため、すべての地域で平等にサービスを受けられるとは限らない点に注意しましょう。

一部の担当者に対する不満の声は確かに存在しますが、それはどのメーカーも同様ですから、あまり気にし過ぎる必要はありません。
結果だけを言えば、メーカー全体で比較した際に平均以上の対応は期待できますから、基本的な対応に関して不安要素はないと考えてよいでしょう。

この記事のまとめ

富士フイルム(富士ゼロックス)製のコピー機は、全体のバランスが優れ、フレームの構造も頑丈です。
壊れてから修理するのではなく、壊れる前に対応するスタンスのため、コピー機を法定耐用年数いっぱい使用することを想定してリース契約ができるでしょう。

コピー機にとって必要な性能を高いレベルで備えているため、自社で用意できる費用と求める効果を正しくマッチングできれば、コピー機に対して社員が不満を述べる機会は少なくなるはずです。

逆に、オーバースペックになりそうな予感があるなら、客観的にコピー機に求める機能を洗い出し、自社にとって必要かどうか検討する機会を設けるべきです。

富士フイルム(富士ゼロックス)は、コピー機を信頼して使いたいユーザーの期待に応えられるメーカーの一つです。
自社にとって必要だと考える明確な理由があるなら、一度相見積もりを取ってみることをおすすめします。

  • 公開日:2022.05.19

テーマ:各コピー機メーカーの特徴

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