京セラのコピー機の特徴。
他社との違いや料金や修理、故障などについて

会社名よりも経営者の名前の方が有名な企業はいくつかあるものですが、京セラはその中の一つに数えられるかもしれません。
名誉会長の稲盛和夫氏は、経営不振に陥った日本の翼・JALの救世主であり、コピー機を取り扱うきっかけとなった三田工業の更生にも携わっています。

京セラは、買収・吸収合併を繰り返して幅広い分野に進出しており、現代においては超大手企業の一つとなっています。
しかし、取り扱うコピー機には機能性や画質の豪華さのみを求めず、経営を助ける視点から開発された機能が数多く搭載されています。

この記事では、そんな京セラのコピー機の特徴について、他社と比較した際の違い・料金・修理や故障に関する点を紐解きながらご紹介します。

1円たりとも無駄にしない!京セラ驚異のコストカット技術

もともと、京セラはセラミックスを取り扱うベンチャー会社だったため、コストカットに敏感な一面があります。
稲盛氏の公式サイトでも、計上のタイミングや経費の細分化など、経費をより詳細にとらえるための方法が掲載されています。

これは京セラという会社だけの話ではなく、京セラが作った製品・すなわちコピー機にも当てはまる話で、無駄な経費を極限まで突き詰めて減らそうとする努力が具体化されています。

以下に、他社との差別化につながる、主なコストカット技術をご紹介します。

フルカラーの無駄を省いた「2色コピー」

毎月のカウンター料金は、モノクロとカラーで単価が違います。
カラーの方が高いことから、企業ではできるだけモノクロ印刷を使うよう社員を指導しますし、資料にも極力カラーを使うことはしません。

ただ、毎回重要なポイントに手書きで蛍光マーカーを入れるのは、作業効率の面では非効率です。
特に、同じ内容のものを複数枚印刷する場合は、あらかじめマーカーを入れたような形で印刷したいと思うでしょう。

京セラの機種には、全6色の中から好きな色を選び、黒と組み合わせて印刷できる機能を持つものがあります。
つまり、特定の部分をマーカーで塗るような効果があるため、誰の目にも見やすい印刷を安価に行えるのです。

もちろん、色を制限する分だけトナーも節約できますから、一石二鳥の効果が期待できます。
ある意味、ありそうでなかった、とても便利な機能の一つです。

白紙は詰めて印刷する

オフィスワーカーの中には、できるだけ1枚の紙に多くの情報を印字できるよう、印刷方法を工夫する人もいるかもしれません。
京セラの機種の中には、そういった希望を叶えてくれる機能を搭載したものがあります。

コピー機が原稿を読み込む場合、原稿の一部に白紙のページが混ざっていると、その部分はもちろん白紙となります。
しかし、京セラの一部機種は、仮に白紙のページがあると認識した場合、その部分は無視して次の原稿印刷に進みます。

時に自分の財布からお金を出す経営者はともかくとして、会社員・アルバイトの立場から、数円単位の経費をとらえようとする心がけを持つのは難しいものです。

しかし、京セラのコピー機に任せておけば、少なくともコピー用紙の無駄遣いは自動で防げることでしょう。

省エネ機能も充実

京セラ機は、目に見える消耗品の節約だけでなく、電力の消費を抑える省エネ機能も充実しています。

トナー濃度を5段階調整できる「エコプリント」機能は、濃度自体を減らしたとしても、本来の濃淡には影響を与えず、画質を維持したままトナーの消費を少なくしてくれます。

文書2~4枚を1枚の紙に圧縮印刷する集約機能・曜日ごとに電源のON・OFF時間を調整できるウィークリータイマー機能など、ユーザーの事情に応じてコピー機を管理できる機能が充実しています。

また、スキャン・コピー機の光源に白色LEDが使われている機種もあり、省電力に加えてライト自体の寿命も延ばすという、一挙両全の構造を実現しています。

多くの企業から評価されるのが耐久性

京セラのコピー機を選ぶ人の多くは、先進的な機能を求めるというよりは、その耐久性・頑丈さを評価する傾向にあります。
価格帯も手ごろなため、オフィスユースで最低限必要な機能を備えていて、長年使えれば問題ないと考える層から人気を集めています。

続いては、費用対効果の面から京セラのコピー機を解説します。

自社開発している京セラのドラム

京セラのコピー機が耐久性に優れている理由の一つに、自社開発したドラム「アモルファスシリコンドラム」の存在があげられます。
ドラムというのは、トナーを紙に写す用途で使われる部品で、本来は消耗品として扱われていました。

トナーを使用するレーザー複合機は、ドラムを使って印刷を行う構造になっているため、印刷を続けるうちに摩耗していく宿命にあります。

しかし、京セラのドラムは100万枚の印刷を可能にしており、一般的な寿命は枚数で10万枚程度とされる中、使用環境によっては一度も交換の必要がないレベルにまで耐久性を向上させています。

カウンター保守契約を結んでいる場合、原則どのメーカーであっても保守・修理そのものに料金は発生しませんが、修理に伴うタイムロスは避けられません。
乗り換えの期間を早めるリスクも少なくなりますから、安定して同じ機種を使い続けたいユーザーにとっては、重要なポイントの一つになるはずです。

しっかり使えて価格は安い

コピー機導入を価格の面で検討する場合、真っ先に名前があがるメーカーは、おそらく京セラでしょう。
富士ゼロックスなどに比べると、同じような性能で半額以下の契約が結べるケースも珍しくなく、営業面では攻めの姿勢を感じさせます。

安い価格帯を実現するために、性能・印刷物の質に関しては「使えるレベル」にとどめているという声もあります。

しかし、一般的なオフィスでコピー機に求める性能は限られますから、基本的な機能を5年以上にわたり安定して使えるなら、リースする価値は十分にあります。

一時期は故障の多さが話題になったこともありましたが、最近のモデルでは改善がなされているため、不安要素は年々少なくなってきています。
たくさん使える安いコピー機を求めているなら、京セラは候補から外せないでしょう。

徐々に広まる認知度

京セラ機のシェアはそれほど高くありませんが、新型ドラムの実用された時期が2011年代だったことを考えると、これから知名度が伸びてもおかしくないと思われます。

次第に「京セラのコピー機は耐久性が高い」ことも認知されてきているため、将来的にシェアが変わる可能性は十分あります。
2018年にはコンビニ機にも参入を開始し、デイリーヤマザキ全店にマルチコピー機を導入する運びとなりました。

コンビニ機はモデルの耐久性と操作性の良さをはかるのに適しており、評価が高まれば、他のコンビニでも京セラ製のマルチコピー機が導入されるかもしれません。

コンビニ機の質が高いと評価されれば、使いやすさ・壊れにくさの面で京セラは優れているという再評価にもつながるため、今後の動向が注目されます。

万一トラブルが発生した際の対応はどうか

いくら耐久性に優れていたとしても、コピー機は精密機器ですから、使用中にトラブルが発生することを想定しなければなりません。
コピー機を用意する際に忘れてはいけないのが、保守サービスの質・対応の評価です。

結論から言うと、京セラの保守サービスの対応は地域によって評価に差があるものの、概ね及第点を得られているようです。
以下に、目立った特徴をご紹介します。

対応のスピード感はまちまち

京セラは、メーカーメンテナンスと代理店メンテナンスで評価が分かれる傾向にあります。
どちらが良い・悪いという意見は一概にまとめられないものの、代理店メンテナンスの評価は地域によってバラけています。

実際に対応してもらう段階になると早いのに、サービスマンが定期的なメンテナンスの時期を設けず顔を出さないなど、あくまでも問題が起こった際の対応に終始しているという評価が多く見られます。

保守サービス拠点が他の大手に比べて少ない傾向にあることも、対応が後手に回る一因かもしれません。

代理店メンテナンスの多さが評価を下げている可能性もある

必ずしも代理店側に原因があるとは限りませんが、京セラは代理店メンテナンスで対応しているケースが多いため、メーカーと比較して対応に差が生じる点は否めません。

修理のスキルやコピー機に関する知識は、一朝一夕で学べるものではありませんから、代理店の経営状況・サービスマンの人数によっては、ユーザーが満足するメンテナンスを実現できないケースも十分考えられます。

せっかく耐久性の高いコピー機を製造しても、サービスマンが不十分なサービスを続けていたら、当然評価は落ちていきます。
優秀なスタッフをどれだけ安定して集められるかが、今後の課題と言えそうです。

ユーザー側にメンテナンスを任せるケースも

もともと安さと耐久性を売りにしてきた京セラは、プランの面でも価格重視のプランを用意しています。

一部機種で用意されている「コンビ保守システム」という方法がそれにあたり、ユーザー側でできるメンテナンスはユーザーに任せ、その代わりにカウンター料金を安くするというものです。

このことから、京セラというメーカーは保守体制より価格帯を重視しており、まずは安く商品を提供することを念頭に置いているものと推察されます。
ある程度コピー機に知識のあるスタッフがいるなら、あえて自前でメンテナンスを行い、よりランニングコストを安くするのも一手です。

この記事のまとめ

京セラのコピー機は、安さ・耐久性という点を重要視して開発を進め、コピー機導入のハードルを下げたメーカーの一つです。

スペックを不安視する声があるのも事実ですが、コピー機メーカー大手では実現できないプランを提案したり、耐久性の高いパーツを開発したりと、他社ではなかなか真似できないところに焦点を当てた戦略を立てています。

メンテナンスは地域によって評価に差が生じているものの、自力でメンテナンスできるスタッフがいるなら、予算をカットするプランも選べます。
複数のメーカーを検討した上で、もっとも重要視しているポイントが予算に絞られるなら、京セラは非常に魅力的な選択肢になるはずです。

  • 公開日:2022.07.05

テーマ:各コピー機メーカーの特徴

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