リコーのコピー機の特徴について。
他社との違いや料金や修理、故障などについて
国内コピー機市場の中で、上位シェアを争う企業の一つがリコーです。
ユーザーの満足度が高い傾向にあり、保守サービスの対応スピード・レベルが高い点も大きな特徴の一つに数えられます。
古くからカメラ・複写機の分野に携わっており、現代でもよく聞かれる「OA」を業界で提唱した企業として知られています。
コピー機は総じてバランスの良い性能を備えており、二色刷りのようなカウンター料金を安くする機能が備わっている機種もあります。
リコーのコピー機を選ぶことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、リコーのコピー機の特徴や他社との違い、各種料金や修理・故障への対応についてご紹介します。
リコーは古くからOA業界へ貢献してきた企業の一つ
リコーという会社名・リコー製のコピー機について知っている人は多いと思います。
しかし、リコーがいつから設立され、コピー機業界でどのような位置にいるのかを知っている人は、それほど多くないという印象です。
実は、戦前から設立されている企業の一つで、カメラ・複写機の分野では1950年代から商品開発・発売を行っています。
キャノン・エプソンなどもそうですが、複写機に携わる企業の多くは、概ねカメラの分野にも精通していると言えそうです。
戦前から営業する老舗企業
リコーのルーツを知るには、1936年2月までさかのぼる必要があります。
この年は、リコーの前身である「理研感光紙株式会社」が設立された年で、創業者の市村清氏は感光紙事業を大きく発展させた人物として知られています。
感光紙とは、写真の焼き付け・文書の複写・青写真などに用いる用紙のことで、感光乳剤と呼ばれる乳液状の薬剤を塗布したものです。
その技術を必要とするカメラ・複写機の開発にも取り組み、1950年3月にはベルトコンベア方式によるカメラの大量生産を実現します。
当時のブームはすさまじいもので、国内のカメラ生産量の50%以上を一機種で独占したと言われています。1955年にはジアゾ複写機「リコピー101」を発売し、この頃から事務のオートメーション化に着目していたことがうかがえます。
キャッチコピーは「50枚の写しが10分間でとれる」というもので、現代のコピー機であれば故障が疑われる遅さですが、当時は画期的だったものと推察されます。
「OA=オフィス・オートメーション」を提唱したコピー機メーカー
先にご紹介した1950年代の複写機の広告には、その右上に小さく「事務のオートメーション化のために」と書かれています。
つまり、登場から比較的早い段階で、リコーはすでに「OA=オフィス・オートメーション」という発想を持っていたものと考えてよいでしょう。
オフィス・オートメーションとは、手作業・紙上で行っていた事務作業・定型的作業を、コンピュータ技術によって電子化・自動化することを指します。技術だけでなく、思想に近いものを提唱していた点は、特筆すべきポイントと言えます。
実は「省エネ」の先導者
リコー製コピー機の隠れたメリットに、省エネ効果があげられます。
他のメーカーの同クラス機種と比較した際、リコー製とOKI製では倍以下の電力消費量を記録したモデルもあります。
その他、多くの機種が標準消費電力の低減を意識して設計されているため、電力消費を抑えられるメリットがあります。2014年には「省エネルギーセンター会長賞」も受賞しており、徹底した環境配慮設定が評価されています。
具体的には、高精度な用紙搬送制御による用紙間隔の短縮化・新軽量フレームの採用など、消費電力の低減・製品本体の小型化・計量化につながった点が受賞につながりました。
リコーは、省エネの意識をコピー機に持ち込んだメーカーの一つに数えられるでしょう。
リコー製コピー機が持つ特徴とは
リコー製のコピー機は、価格帯や耐久性など一点突破型の特化型ではなく、全体のバランスを重視した形で作られています。
ユーザーがどんなところに不満を抱くのか・どういった点に注目すれば満足してもらえるのかを考えて作られているため、総じて使い勝手は良いと言えるでしょう。
二色刷りはモノクロと同じカウンター料金
リコー製のコピー機でよく聞かれるキーワードに「二色刷り」があげられます。
二色刷りとは、コピー機のトナー「マゼンタ(赤)・シアン(藍)・イエロー(黄)・ブラック(黒)」のうち、2色のみを使って印刷する機能のことです。
メリットは、二色刷りを選んだ場合、モノクロ印刷と同じ扱いでカウンター料金が計算される点です。黒をからめなくてもよいため、チラシ・POPなどを多数刷る職場では、カウンター料金の節約を目的としてリコー製を使うところも多いようです。
似たようなケースとして、東芝製のコピー機などは印刷用紙の方にこだわりを見せていますが、汎用性の高さで言えば二色刷りができるリコーに軍配が上がるでしょう。
ユーザビリティは高いという印象
細かい機能を拾っていくと、リコー製コピー機のユーザビリティは、高い部類に入るものと考えられます。
操作パネルはタブレット・スマートフォンを意識した構造になっていて、フリック・ドラッグ・ピンチイン・ピンチアウトなどの操作に対応しています。
ユーザー認証機能と組み合わせれば、利用者の好みに応じてカスタマイズされたホーム画面を使うこともできます。
FAXの送信が多い人・スキャンが多い人など、よく使う機能を個別に選んだ状態にできるので、作業の手間が省けます。
ファーストコピータイムは、RICOH IM C6000/C5500の場合で、モノクロ2.9秒・フルカラー4.2秒の速さです。稼働中のジョブの途中で、他のジョブを割り込ませる機能もあり、急な来客で必要になったコピーを行うなど、とっさの場面でも効率的にコピー機を使用できます。
中小企業向けのセンスが光る
コピー機が日本に導入された時代は、まだコピーに対する認知度が低く、大企業・官公庁のニーズを独占していた富士ゼロックスが圧倒的優位でした。
コピーすることを「ゼロックスする」と呼んでいた時代があるほどで、なかなか後から参入する企業がシェアを奪うのは厳しかったようです。
しかし、当時の中小企業にとって、コピー機はまだまだ手が届きにくいものでした。
そこにリコーはターゲットを絞り、大きくシェアを伸ばしたのです。
二色刷りも、ある意味ではコスト感覚を切り詰める発想のため、中小企業を意識した機能とも捉えられます。
ただ、その分画質が低いという評価も見られることから、どちらかというと実用性重視で機能の取捨選択が行われていると判断できます。
いずれにせよ、中小企業のオフィスワークにおいて、リコーのコピー機は強い味方になってくれることでしょう。
サポートの充実度は高いが…
リコー製のサポートは、拠点数・対応スピードともに優秀という評価が多く聞かれます。しかし、その体制を支える上では不可欠なことなのかもしれませんが、価格が高いというデメリットも無視できません。
機能性とサポートを取るか、予算を優先するかで、選択肢が変わってくるものと思われます。ただ、オフィスユースで不満を感じることは、ほぼないものと考えてよいでしょう。
多くの拠点を持ち、対応スピードは速い
コピー機メーカーの中でも、リコーはずば抜けて保守拠点数が多く、他のメーカーでカバーできない地域にも拠点が存在します。
都市部ではあまり差を感じないかもしれませんが、地方に行くとその効果は絶大で、他のメーカーに比べて安心感が違います。
コールセンターへの連絡もつながりやすく、来社のスピードも早いという評価が多いことから、初期対応の面でストレスを感じることは少ないものと思われます。
地域や会社によって評価が割れる点は否めないものの、概ね好評と言えるでしょう。
もともと、コピー機の耐久性にも定評があるリコー製ですから、リース期間中はなるべくトラブルなくコピー機を使いたいと考えているなら、リコーは安全パイの一つに数えられるでしょう。
中には7年間故障がないという口コミも見られ、使用頻度によってはまったく修理を必要とせずに使用できるかもしれません。
技術力は拠点・担当者によって差がある
コピー機のメンテナンスは、サービスマンの対応力にも左右されます。
技術に乏しいと、直してもらってもまた故障してしまう状況が繰り返されるため、業務に支障をきたします。
この点では、やはり他のメーカー同様、拠点・担当者によって対応に差がある点は否めません。故障が出にくい分、実際にトラブルが多発した際には、それが社員のストレスに発展するおそれがあります。
自社を担当してくれる拠点の評価が確認できるなら、事前に話を聞いておいた方が、リスクは少なくなるでしょう。
そもそも、本体価格・カウンター料金が高いという声も
リコーのコピー機は、そもそも本体価格・カウンター料金は高い部類に入るため、格安機種を検討しているなら別のメーカーを選んだ方が無難です。
印刷1枚につき、モノクロ1.2円・フルカラー12円を高いと思うなら、京セラ・東芝・シャープなどを検討してみましょう。
ただ、企業の規模が大きいなどの理由から「重要顧客」扱いされた場合は、比較的安いカウンター料金に落ち着くケースもあるようです。
営業担当者の方で、有利になるよう話を通してくれるなら、良い条件が適用された場合の見積もりをチェックすることも忘れずに行いましょう。
この記事のまとめ
日本におけるコピー機メーカーの中でも、リコーは老舗の部類に入ります。また、早くからオフィス・オートメーションの発想を提唱してきた、先進的な考えを持つ企業でもあります。
コピー機のユーザビリティも高い部類に入るため、利用者の期待を裏切る可能性は低いでしょう。拠点数も多く、地方でも安心して選べるメーカーの一つです。
ただ、その分本体価格やランニングコストが高くつくリスクは否めず、故障時の対応レベルが担当者に左右される傾向は、他メーカーとそれほど変わりません。それでも、コピー機を頻繁に使用するオフィスで、中小企業以上の事業規模であれば、十分リース期間を全うしてくれることでしょう。