シャープのコピー機の特徴。
他社との違いや料金や修理、故障などについて
シャープというメーカーは、どちらかというと「家電のシャープ」というイメージが強いかもしれません。
しかし、コピー機の分野でも良品を数多く世に送り出しており、その歴史も40年以上と長いものです。
オフィスユースでありながら、利用者の目線に立って製造されたコピー機は、ユーザーから使いやすいと定評があります。
大手コンビニのローソン・ファミリーマートなどでは、シャープ製のコンビニ向け複合機が採用されています。
この記事では、そんなシャープのコピー機が持つ特徴について、他社との違い・料金面でのメリット・修理・故障時の対応など、気になる点をご紹介します。
家電を作ってきたノウハウが製品に活かされている
シャープは家電を数多く作ってきたメーカーのため、コピー機にもそのノウハウが活かされています。
オフィス機器以外のものを作ってきた経験は、シャープ製コピー機のユーザビリティを強化するのに役立っているものと推察されます。
事実、コピー機について詳しく知らない人でもかんたんに取り扱えるよう、細かいところまで配慮が行き届いています。
かといって、機能性を限定していないところも、シャープの強みと言えるでしょう。
分かりやすいのは操作性
シャープのコピー機には、そのルーツとして家電製品のエッセンスが取り入れられているように感じられます。
代表的な特徴にタッチパネルがあり、大型パネル・大型アイコンという、オフィスの誰もが操作しやすい構造を実現しています。
コピー機は、オフィスの誰もが使う反面、利用者のスキルに差が生じやすい機器です。
例えば、外に出て働く人は、オフィスワークに従事しているスタッフと比較して、コピー機に触れる時間が少ない傾向にあります。
内勤で働いている人が退社した後の時間に、外勤者が戻ってきたとします。
そこで、コピー機の操作について分からないことが発生した場合、誰にも聞けず仕事が滞ってしまうかもしれません。
コピー機の中には、液晶をタッチして操作するのではなく、各種ボタンを押して操作を決定する構造のものもあり、どのボタンを押せば希望の機能が使えるのか分からないケースは珍しくありません。
しかし、シャープ製はスマホと同じタッチパネル式を採用しているため、特定のアイコンだけを理解していれば難なく印刷ができるよう設定することも可能です。
利用者にとって、まるで家電のような分かりやすい操作性を実現していることが、シャープならではのメリットです。
標準装備されたOCR機能
OCR(Optical Character Recognition)は、日本語で「光学文字機能」という意味で、活字のイメージデータを文字認識してテキストデータに変換する機能のことを言います。
この機能は、多くのメーカーでオプション扱いとなっていますが、シャープでは一部機種を除いて標準装備されています。
一般的に、画像データ・PDFなどは、文字そのものが画像化されているため、そのままではテキストとして取り扱うことができません。
しかし、OCRを使うことで、画像化されたデータにある文字を再びテキスト化して利用できるのです。
データが多数ある場合、いちいちデータを開いてWordなどにコピペする手間が省けますから、業務効率が向上します。
ペーパーレス化が進むオフィスにおいて、非常に役立つ機能の一つです。
一般的なオフィスユースなら、しっかり役目を果たしてくれる
メーカーの中には、自社商品についての理解がないユーザーを置いていく・固定ファンのためにだけ製品を作るメーカーも、少なからず存在しています。
マーケティングの面で言えば、差別化を図るためには有効かもしれませんが、新規のお客さんにとっては敷居が高く感じるでしょう。
しかし、シャープは家電メーカーですから、できるだけ多くの人が使えるよう工夫する方向性で進化しています。
一つのとがった性能よりも、まんべんなくコピー機に必要な機能を用意しているメーカーです。
印刷性能や画質など、オフィスユースで最低限必要なレベルは備えていますから、安心して役目を任せられるはずです。
コピー機の価格帯について
家電メーカーであるシャープは、コピー機の分野でもコストダウンと向き合ってきました。
その結果、京セラのような安さを武器の一つとするメーカーが参入している中でも、比較的安い価格帯でコピー機を提供しているメーカーとして評価されています。
実は鴻海傘下のシャープ
多くの人から「日本が擁する世界的家電メーカー」の一つとして認知されているシャープですが、2016年に台湾の大企業・鴻海精密工業の傘下となっています。
これは、シャープが世界の動きを見誤ったことも一因ではありますが、日本製の高価な家電に対する反発もあってのことと推察されます。
2000年代に液晶テレビで成功したシャープは、本腰を入れてシェアを確保しようと動きますが、韓国・中国企業の追い上げの影響を受け、最終的に価格競争で負けてしまいます。
他の家電においても、メーカー側の「多機能・高品質」な製品を作ろうという思惑に対して、ユーザーは「安くてそれなりのもの」で十分だと考えるようになり、日本でも海外製の家電を買う層が増えていきました。
その結果、シャープは赤字を計上し続け、資産をすべて売ったとしても借金が返済できない「債務超過」の状況に陥ります。
こうして、鴻海による改革を受けて現在に至るわけですが、コピー機・複合機事業に関しては黒字経営を続けています。
黒字の理由は低コスト?
性能面に優れる分だけ価格帯が高めの富士ゼロックス・リコーなどと違い、シャープは家電メーカーらしくコストの面でユーザーにメリットを提示してきました。
本体価格だけの話をすれば、同じレベルのスペックで比較した際、富士ゼロックス製に比べて500,000円ほど安い機種もあります。
日本では、安さだけでなく機能性もチェックされますが、海外であればそこまで細かい機能は重要視されません。
そのせいか、海外の販売網も強く、値引き率も大きい傾向にあります。
ちなみに、保守サービスが切れた機種であれば、家庭用コピー機とほとんど変わらないような値段で購入できるモデルも見られます。
価格がすべてではありませんが、自社にとって必要十分なモデルのイメージが固まっているなら、シャープの中古品を探してみるのも一手です。
すべてのモデルが安いとは限らない
シャープの本体価格は、多くのメーカー品を比較する限り、確かに安い傾向にあります。
しかし、もちろん上位モデルもありますから、一概にすべてのモデルが安価で手に入るとは言い切れません。
公式サイトなど、定価を基本として価格帯を比較すると、京セラ・コニカミノルタなど、他社の方が同スペックで安くなるケースは珍しくないからです。
ただ、値下げ率が大きいため、見積もりを検討する中で安くなるケースは往々にして存在します。
印刷速度・立ち上がりの速さなど、値段も含め比較要素を絞ってチェックすることが大切です。
メンテナンスや性能・故障への対応はどうか
コピー機は定期的なメンテナンスが必須の機械ですから、どのメーカーも基本性能を日々向上させつつ、何かあった時のメンテナンス体制を構築しています。
ただ、メーカーごとに得意・不得意とする部分は存在していて、シャープにもメーカーとしての特徴が見られます。
耐久性の強さは定評がある
シャープは、富士ゼロックスと並び、日本でも数少ない「コンビニ用コピー機」を製造しているメーカーです。
富士ゼロックスはセブンイレブンで使われるコピー機を製造していますが、シャープはローソン・ファミリーマートに加えて、セイコーマートなど地方のコンビニも網羅しています。
コンビニのコピー機は、基本的に出入口近くに配置されていることが多く、時には雨や雪などの影響を受けつつ稼働させなければならないため、周囲の環境・温度・湿度の変化に対応できるレベルの頑丈さが求められます。
これは、オフィスユースのコピー機では言うまでもなくご法度の条件であり、それだけ耐久性に自信がなければ製造・販売できません。
このようなノウハウがあることも影響してか、シャープのコピー機を選ぶユーザーは、その丈夫さを評価して購入するケースが多いようです。
立ち上がりが早い・外観もスマートかつコンパクトなため配置に困らないという意見も聞かれます。
メンテナンス拠点が少ない点はネックか
シャープのメンテナンス拠点は、他メーカーと比較した際に少ないことから、修理対応に不安があるという声もあります。
口コミを見てみると、対応のスピードは県によってバラバラで、都市部や一部地方では迅速な対応が期待できる反面、修理や部品取り寄せに時間がかかるという意見も見られます。
技術面でも、サービスマンによって対応に差があるという意見が目立ちます。
本体の耐久性が強い分、サービスマンを頼る機会は少ないかもしれませんが、設置する地域によってはフォロー体制の確認が必要になってくるでしょう。
画質を無視できない人には不向き
コピー機メーカーは、それぞれ特徴を持っています。
特に画質で評価されているメーカーもあれば、価格帯・頑丈さなどを評価されているメーカーもあります。
シャープは耐久性・価格帯・バランスの面で評価されているため、突出した画質性能を売りにしているわけではありません。
よって、印刷物の質を重視するユーザーなら、別メーカーを選んだ方が確実と言えそうです。
この記事のまとめ
シャープの特色は、メーカー自体が家電を扱っていた部分に現れており、使いやすさと耐久性を重視した構造の機種が多く見られます。
比較的厳しい環境下でも安定して働いてくれるため、プレハブなど温度変化の影響を受けやすいオフィスでも安心して利用できます。
保守メンテナンスに関しては、サービスマンの対応や評価の高い地域に差こそあるものの、各地に拠点が設けられています。
画質に強いこだわりがなければ、どんなオフィスでも仕事をこなしてくれる機種を用意できるメーカーと言えるでしょう。