コピー機のPC対応は、Macにも対応してる?
色味・カラーにこだわる業種のコピー機の選び方と注意点

日本における大半のオフィスで使用されているOSはWindowsですが、デザイン業などクリエイティブを求められる環境では、Macが使用されています。
その際に問題となるギャップの一つに、ディスプレイ越しに見えるデザインを紙に再現しようとすると、色味やカラーがイメージと異なってしまうケースがあげられます。

一般的なオフィスで使用する資料に関しては、多くの場合、そこまで印刷イメージにこだわる必要はありませんし、こだわる人も少ない傾向にあります。
しかし、デザインを生業にしている企業・オフィスでは、ちょっとした色味の違いが大きくイメージを変えてしまうため、安くて頑丈なコピー機を選べばOKというわけにはいきません。

デザイン業独特のニーズに合致したコピー機を選ぶためには、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。
この記事では、Mac対応機種・色味やカラーにこだわれる機種の選び方と、選ぶ際の注意点についてご紹介します。

Mac対応のコピー機の選び方

かつては、Mac対応のコピー機を選ぼうと思ったら、専用機種を購入するか、MacOSが使えるようオプションを付け加える必要がありました。

しかし、日本でもMacのシェアが増えていることから、現代ではそこまで心配する必要はなく、基本的に最新機種を選べばMac対応の機種を用意できると考えてよいでしょう。

ほとんどのメーカーがMac対応機種を用意している

印刷物の質はさておき、Mac対応のコピー機・複合機を選びたいと思ったら、まずは各メーカーに相談すれば問題ありません。

富士ゼロックスやキャノンなどの大手はもちろん、比較的格安機種を扱っているシャープ・京セラなどでも取り扱いがありますから、とりあえずMacを使っているからといって蚊帳の外に置かれることはなさそうです。

ただ、モデルによっては接続できないものがありますし、用意されていてもプリンターのみというケースも考えられますから、自社での使用環境に応じて選ぶ必要があります。

実際のところ、普段のオフィスワークがWindows主体なら、あえてMac対応のコピー機・複合機を社員全員で共有せずとも、プリンターだけ必要に応じて使用するという方法もあります。

インクジェット式のモデルを使い、高い画質を維持したいと思うのであれば、例えばエプソンの高性能なプリンターを選ぶという方法もあります。
一つの方法・機種・メーカーにこだわることなく、柔軟に考えたいところです。

Macでどこまでできるのかも確認しておく

デザインオフィスなどでMacとコピー機との連動を想定した場合、一般的には、プリンターさえ使えれば仕事に支障が出ることは少ないかもしれません。
しかし、それ以外にもFAXのやり取りをしたり、コピー機からPCにスキャンデータを送ったりしたい場合、希望する機能すべてが含まれていなければ使えません。

メーカーで標準対応しているのはプリンターまでという機種を選んだ場合、それ以外の機能はオプション対応となるため、想定していた以上のコストになるおそれがあります。
導入前の段階で、欲しいと思っているモデルにどこまでの機能が標準装備されているのか、あらかた確認しておくことが大切です。

オフィスではWindowsとの共用が必要な場合も

コスト・利便性の都合上、1台のコピー機で効率的に作業を進めたい場合、ある問題が生じるおそれがあります。
それは、オフィスワークでWindowsを使っている場合、Macとドライバーが違うため、両方のOSから印刷できなくなる点です。

もちろん、多くのメーカーは解決策を用意しており、DTP業界の標準言語「PostScript」を使えば、Windows・Mac両方のOSから印刷が可能になります。
PostScriptとは、アドビシステムズ社が開発したPDFの元になる言語のことで、実装すれば機種・ソフトにかかわらず同じ印刷結果を得られます。

PostScriptがあれば、印刷の色・形・大きさといった描画の指示を、ユーザー環境にかかわらず出すことができます。
ちなみに、PostScriptがコピー機に搭載されていないと、MacOSから印刷ができないケースもありますから、導入前に自社の環境で使えるモデルかどうかの確認が必要です。

色味・カラーにこだわりたい場合のコピー機の選び方

Mac対応のコピー機の選び方について確認したところで、続いては、MacOSにこだわらず色味・カラーを重視したい場合の選び方についてお伝えします。
デザイン上、特に重要となってくるのが色味であり、メーカーによって印刷物のニュアンスが異なりますから、自社のイメージに即したものを選べるかどうかが鍵になります。

デザインでは色味の正確な再現が求められる

色の良し悪しの判断基準は、個人の主観が多くの割合を占めています。
ただ、デザインに従事する場合、単純に「赤色」という単語だけで似た色合いすべてを表現することは不可能ですから、共通言語として色味は正確に再現できていなければなりません。

赤に近い色の名称だけでも、「茜色(あかねいろ)」・「カーマイン」・「朱色」・「猩々緋(しょうじょうひ)」・「真紅(しんく)」・「紅赤(べにあか)」など、いくつもの種類があります。

人間の感性・正しい色味のバランスは、最終的には印刷物の出来を見て判断せざるを得ないため、欲しいデータを印刷してみて再現性を確認するのがよいでしょう。

【高級メーカー=色味が正確】とは限らない

色味・カラーにこだわりのあるメーカーというのは、コピー機業界でも一定数名を知られたメーカーが存在しています。
具体的には、コピー機のレベル全体が高い富士ゼロックス・画質の高さがウリの一つであるキヤノンやコニカミノルタなどが該当します。

実際、これらのメーカーは高級メーカーとして認知されており、価格帯も高めという印象です。
しかし、だからといって色味がすべて理想通りであるとは限りません。

コピー機に用いられる主なトナーの色は4色で、それぞれシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックとなっています。
コピー機は、これらの色を組み合わせつつ濃淡をつけることで、データ上の色を印刷物に再現しようと試みています。

ただ、イメージ通りのニュアンスを限られた色で表現しようとしても、やはり限界があります。

コピー機によっては、シアン・マゼンタ・イエローのいずれかが薄かったり、あるいは濃かったりしますから、機種・メーカーによっては安価なのに自社のブランドイメージに合致してしまうケースも考えられるのです。

デザイン用途でコピー機を選ぶなら、前評判や口コミに頼らず、やはり担当者の目で確認するのが確実です。

ユーザーの評価に違いがある点も考慮する

どうしてもユーザーの評価が気になってしまう場合は、機能性や耐久性などの面に限り、ある程度口コミなどを信用してもよいでしょう。
ただ、画質を評価するためには、実際に印刷されたものをチェックしなければなりませんから、やはりユーザーの評価を鵜呑みにすることはできません。

あるユーザーが「画質はリコーが一番」と評価していても、他のユーザーが「コニカミノルタの発色が良い」・「富士ゼロックスの再現性は高い」と話しているケースは珍しくありません。

参考意見を集めすぎると、かえって収拾がつかなくなりますから、最後はやはり自分の目を信用しましょう。

再現性の高さを求める場合の注意点

画像データ等の再現性の高さを第一に考えるのであれば、コピー機の選び方も自ずと変わってきます。
以下に、再現性の高さを第一に考えてコピー機を選ぶ場合の注意点についてご紹介します。

サンプルから再現性を確認する

導入前に必ずやっておきたいのは、導入候補となる機種で、サンプルをとることです。
画像・イラストデータ・インクの色のグラデーション画像などを印刷してもらうことで、自社で問題なく使用できるスペックかどうかを確認できます。

グラデーションのなめらかさ・基本となるトナー4色の出力状況・イラストの再現性などは、サンプル印刷である程度チェックできます。
商品となるもの・売上に直結するものを印刷するのであれば、決しておろそかにできないチェックポイントです。

コピー機があまりに繊細過ぎても問題

画質の再現性がどれだけ高くても、コピー機に求められるのは総合力ですから、やはり壊れやすいモデルはオフィスユースで敬遠されます。
仮に、中古で高性能機が手に入ったとしても、すぐに壊れてしまっては元も子もありません。

画質や色味だけに固執せず、コピー機として最低限使用できる耐久性を備えたモデルを探すのが、業務用コピー機を探す際に忘れてはならないポイントです。
繊細な芸術品を探しているわけではないはずですから、その点を勘違いしないよう注意しましょう。

こだわりを忠実に再現するには「プロダクションプリンター」

どの企業・オフィスでも気軽に導入できるわけではありませんが、多種多様かつクオリティの高い印刷物が多数必要になる場合は、業務用コピー機で対応できる限界を超えてしまっているかもしれません。

長尺物・色鮮やかなパンフレットなどの印刷を頻繁に行う機会があるなら、予算に応じてプロダクションプリンターを導入するのも一手です。

プロダクションプリンターを使えば、印刷できる用紙を問わず、再現領域も広くとることができます。
メタリックカラーの再現・高速性と正確性の両立・高品質の確保など、プロが使用するにはメリットの大きい選択肢です。

ただ、高性能な分だけ導入費用が高くついてしまいますから、導入に必要な予算を確保できるかどうかが課題と言えそうです。

この記事のまとめ

Mac対応・色味のバランス・カラーグラデーションなど、デザイン業で用いるコピー機を選ぶ場合、一般企業とは異なる視点が必要です。
ただ、一芸に秀でているモデルを選べば業務上問題ないとは言い切れず、やはり耐久性や汎用性などを考慮してコピー機を選ばなければ、後々不満を感じるはずです。

世間一般の評価では高性能・高画質と言われていても、自社におけるデザインにマッチした画質でなければ、結局別のプリンターを用意することになるでしょう。
プロ仕様のモデルを導入することも含め、コピー機に求めている機能をある程度絞った上で、後悔のないよう時間をかけてコピー機を選びましょう。

  • 公開日:2021.02.09

テーマ:コピー機の基礎

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