小規模事業や省スペースなどでは少し違う?
スモールオフィスに最適なコピー機の選び方と注意点

新型コロナウイルスの影響が強まる中、スモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)でのテレワークなど、新しい働き方が注目を集めています。
一般的なオフィスよりも少ないスペースを有効活用するため、コピー機などのOA機器も、省スペース化を想定して導入する必要があります。

比較的狭いオフィスの中に配置することを考えると、大きさは小さくなる傾向にありますし、その分予算も安く済ませられます。
しかし、印刷速度・用紙サイズ・機能などの面で制約を受ける可能性が高く、必要な機能を厳選しなければ、後悔が残るおそれもあります。

コピー機・複合機に備わっている機能は、細分化すると多岐にわたりますが、その中でよく使う機能は限られています。
この記事では、スモールオフィスでの使用を想定した時の、最適なコピー機の選び方・注意点についてご紹介します。

オフィスで使用する機能を厳選する

スモールオフィスでコピー機を使用する場合、一般的なオフィスと同様の機能を備えていたとしても、多くの場合「宝の持ち腐れ」になります。
自分たちが行うビジネスに差しさわりのない範囲で機能を厳選すれば、その分だけ費用も安く抑えられ、より小さいサイズのものを導入できるでしょう。

FAX機能は必要か

個人単位で仕事をするスモールオフィスを想定した場合、真っ先にその必要性が疑われる機能の一つに「FAX機能」があります。

不動産業・中古車販売業・建設業など、頻繁にFAXを使用する業種も少なくありませんが、取引件数が少ない中でFAX機能を備えたコピー機を用意する必要があるのかどうかは、導入前に一度検討した方がよいでしょう。

仮に、リース契約でコピー機を導入することを考えた場合、メンテナンスは基本的にカウンター保守契約を結ぶことになります。
そして、FAXのデータが届いたら自動印刷する設定にしている場合、広告も含め受信内容が印刷されるたびに料金が発生し、無駄紙も増える傾向にあります。

紙を使わずデータの送受信ができるインターネットFAXを使えば、トナーもコピー用紙も節約でき、スマホ・PC上で印刷が必要なものを選ぶことができます。

どんな業種・オフィスであっても、規模が小さくなることでニーズが減ることは十分考えられますから、コピー機の購入・導入時はFAXの必要性に注目してみることをおすすめします。

用紙トレイはA4サイズ以下でよいか

オフィスユースのコピー機は、A3サイズ以下の用紙が印刷できるモデルがよく使われます。
社内資料・図面など、オフィスワークで意外とA3サイズが必要になるケースは多いものですが、実務上本当に必要かどうかはオフィスによって異なります。

A4サイズの印刷物は、家庭用プリンターでもよく見受けられますし、官公庁への提出資料もA4以下というケースが圧倒的多数です。
そのような中、あえて使用頻度の少ないA3以上のサイズの用紙トレイを備えることは、スモールオフィスの規模で必ずしも求められるスペックとは限りません。

どうしても実務上外せない理由があるなら、多少大きめのモデルを探す・最低限A3とA4紙だけ印刷できるよう用紙トレイを用意するなど、いくつか方法があります。
ただ、A3対応をオプション扱いしている機種も見られるため、普段の印刷物の大きさ・ビジネス上の用途については、導入前に検討が必要です。

インクジェット機にするかレーザー機にするか

スモールオフィスにコピー機を配置する場合、インクの種類も検討対象です。
具体的には、インクジェット機にするか、それともレーザー機にするかで検討の余地があります。

レーザー機は印刷スピードが速く、1枚あたりの印刷コストも低いため、大量の書類を印刷するのに適しています。
インクジェット機は本体サイズを小さく抑えることができ、高解像度で消費電力も少ない利点があります。

限られた人数で仕事をするスモールオフィスでは、機能性だけでなく、本体そのものの軽さ・取り扱いやすさなども重要です。
仕事内容や人員の増減によって、配置を変更する可能性があるからです。

そのため、単純に本体の取り回しの良さだけで選ぶならインクジェット機が有利ですが、印刷物を頻繁に用意するようであればレーザー機に軍配が上がるでしょう。
先入観を持たず、働くオフィスの事情に応じたモデルを選びたいところです。

予算と契約形態を検討する

コピー機を導入するにあたり、誰もが悩むのは「予算」と「契約形態」についてです。
どのくらいの予算をコピー機にかけることができるのか・いつまで同じコピー機を使い続けるのか、十分検討した上で購入・リース等の手段を選ばなければなりません。

法人だからリース・個人事業主だから購入という選択肢は、誰にとってもメリットがあるとは限りません。
以下に、検討する際の視点をいくつかご紹介します。

最低限の機能でよいなら新品を買うと安い

コピー機に求める最低限の機能だけを求めるなら、わざわざ時間をかけてリース契約までこぎつける必要はありません。
家電量販店で手に入る・一人で持ち運びできるレベルで、新品のオフィス向けコピー機・複合機を購入すれば、壊れるまでは誰かに気兼ねすることなく使い続けられます。

サイズ感が小さい分、どこに置いてもスペースを取らず、机や家具の上で使うこともできます。
ただ、耐久性は業務用に比べて弱い傾向にあり、無償での修理も保証期間内までに限られますから、ほとんどの場合は故障したら手放すことになるでしょう。

印刷枚数が少なく、スキャンやコピーの機会も限られているなら、小さめの新品を購入するのが確実です。

オフィスユースを想定するなら中古の購入・リースを想定する

スモールオフィスであっても、複数人が1つの機種を使って仕事をするなら、やはりオフィスユースのモデルを用意すべきでしょう。
この場合は、中古の良品を購入して保守契約を結ぶか・リース契約を結ぶかの2通りから選ぶのが妥当です。

中古を選ぶ場合、格安で性能の良い機種を選べる可能性がある反面、いつまで使えるのか耐久性が不透明というリスクがあります。

また、保守契約の種類が多様なため、一見コストパフォーマンスに優れているように見える契約を結んだ結果、かえってカウンター保守契約より高くついてしまうことも考えられます。

リースを選んだ場合は、新品で機能性に優れた機種を5年以上使い続けることができるものの、基本的に解約はできず、毎月のランニングコストを考慮しなければなりません。
どちらも一長一短がありますから、最終的には予算に応じて導入を考えることになるでしょう。

一時的に必要ならレンタルで対応

スモールオフィスの立ち上げが一時的なものだったり、コピー機が必要になる時期が決まっていたりする場合は、レンタルも魅力的な選択肢です。
毎月のランニングコストは多少高くなりがちですが、不要になったタイミングで契約を解除できるため便利です。

ただし、同じ機種を長い間使い続けたい・自分で納得のいくものを選びたいという人にとって、レンタルは不向きです。
レンタルという契約の性質上、新品を使わせてもらうことはできませんから、製品を選ぶ際の自由度は低くなります。

また、レンタル契約のコストはリース・購入に比べて高く、1ヶ月50,000~100,000円という費用が発生するケースもあります。
きちんと業者を見極めて、少しでも安くなるよう相見積もりを取ってから契約することが大切です。

スモールオフィスにコピー機を導入する際の注意点

コピー機をスモールオフィスに導入するなら、できるだけ利便性を意識して機種を選びたいところです。
以下に、選ぶ前に押さえておきたい注意点をご紹介します。

ひとりで持ち運べる大きさが望ましい

オフィスの面積が狭いということは、その分オフィス空間に配置できるものが少ないことを意味します。
机や椅子・本棚の数、配線の都合、デッドスペースの活用法など、コピー機を配置する際に考えるべきことはたくさんあります。

一通り必要な物を設置してから、導線を見直したくなる場合もあるでしょう。
そういった場合に大きなコピー機を配置してしまうと、その他の配置にいくつもの制限がかかってしまいます。

後々になってから配置を変えたくなる状況を想定して、スモールオフィスに配置するコピー機は、できるだけ「ひとりで持ち運べる大きさ」をイメージしておくと安心です。

狭いスペースであってもWi-Fiがあると便利

コピー機とPCを接続する場合、少人数だと有線による単純な接続を想定するケースが多いかもしれません。
しかし、たとえ狭いスペースで配線が面倒でなかったとしても、将来のことを考えてWi-Fiでの接続ができるモデルを選びましょう。

最新機種のほとんどがWi-Fiに対応しているため、新品購入・リースを考えているなら問題ありませんが、中古の場合、年式・価格帯によっては有線での接続を余儀なくされるリスクがあります。

情報漏洩の防止など、セキュリティを考慮して有線を選ぶ考え方も間違いではありませんが、拡張性に乏しく配線の手間もかかるため、社員が増えた時に面倒も増えます。

スモールオフィスであっても、会社が成長することを想定しておかなければなりませんから、現代でコピー機を導入するならWi-Fiを接続方法のベースとして考えておいた方が無難です。

メンテナンスをどうするのか考えておく

新品・中古の購入を検討している場合、その後のメンテナンスが将来的に問題となります。
家電量販店で購入したコピー機は、基本的にサービスマンが自宅にやって来て修理対応してくれることはなく、メーカーに本体を送って修理を依頼するのが一般的です。

オフィスユースのモデルを中古で購入した場合は、保守契約を別途結ぶことになりますが、その際に大きく分けて以下の4つの中から契約方式を選ばなければなりません。

  • 毎月の印刷枚数をチェックするカウンター保守契約
  • 新しいトナーを購入することで契約を継続するトナーキット保守契約
  • 1年単位での更新となる年間保守契約
  • 故障の都度サービスマンに修理を依頼するスポット契約

カウンター保守契約を除いて、どれもやや特殊な契約方式ですから、ランニングコストを契約前に計算した上で判断することが大切です。

この記事のまとめ

スモールオフィスにコピー機を導入する場合、機能・大きさ・予算・契約形態など、様々なファクターを考慮する必要があります。
一般的なオフィスワークで求められる機能が欲しい場合は、リースという選択肢でもよいと思いますが、明らかにオーバースペックの場合は魅力が感じられないでしょう。

小規模事業者は、できるだけランニングコストを減らしたいのが本音ですから、毎月定額の出費におびえるよりも、今あるお金で未来を買いたいと思うものです。
ただ、利益が確実に出ているなら、先を見越してリースを選ぶのは悪い選択肢ではありません。

配置や導線・接続方法の問題も、コピー機を選ぶ前に検討したいポイントです。
時間はかかるかもしれませんが、無駄な出費と手間をなくすためにも、しっかり考え抜くことが大切です。

  • 公開日:2021.04.19

テーマ:コピー機の基礎

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