新型コロナウイルスとコピー機の影響。
コロナでリースの審査や納品期間などに影響はあるのか

  • 2021.06.19

リース契約

人類の生活を一変させた新型コロナウイルスは、コピー機リースの世界にも大きな爪痕を残しました。
具体的には、コロナ禍における審査が厳しくなっている・納品がきちんと行われないなどの声が聞かれるようになったのです。

これは、必ずしもリース会社だけを責められる話ではなく、そもそもリース契約という特殊な契約が原因と考えられます。

多くの場合、コピー機は5年間という契約期間の縛りがあり、その間に支払いが滞るのはリース会社にとって死活問題ですから、新規契約を結ぶのに二の足を踏んでしまうのは致し方ないところです。

コピー機に対して高額の初期投資を必要としないメリットから、日本でもリース契約は広まりましたが、残念ながら社会情勢が不安定になってしまうと誰もが契約に慎重にならざるを得ません。

この記事では、新型コロナウイルスがもたらしたコピー機リース業界への影響や、審査通過率を上げるために知っておきたいポイントなどをお伝えします。

結論から言うと「影響はあった」という認識が正しい

リース業界でも、新型コロナウイルスの影響を少なからず受けています。
業界全体で言えば、自動車・船舶が深刻な状況です。

ただ、コピー機に関しても少なからず影響はあり、様々な問題が起こっています。
以下に、具体的なケースや傾向などをご紹介します。

2020年に入ってから生まれた経済不安

新型コロナウイルスは、2019年からその存在が確認されており、本格的に流行したのは2020年に入ってからでした。
日本国内で感染者が確認されたのは2020年1月ですが、3月には世界各地で流行し始め、その勢いは2020年10月もとどまるところを知りません。

緊急事態宣言を皮切りに、全国で外出・旅行等の自粛が進み、倒産の憂き目にあう企業も増えていきました。

2020年5月時点では、新型コロナウイルスがまん延する以前に比べて、リース事業協会への「リース料金の支払い猶予」の相談が3倍となるなど、経済不安を理由とした動きが目立ちます。

こうした問い合わせに対して、支払いを翌月以降に繰り延べる措置をとるなど、現場は契約者に対する臨機応変な対応・判断を迫られました。
新型コロナウイルスの影響が終息する時期が見通せず、先行きが不透明な中、一時期は新規契約がままならない時期もあったのです。

審査に通らずトラブルになるケースも

コロナ禍での新規リース契約が難しいのは、仮に契約を結んだとしても、契約者がリース料を支払い続ける体力があるかどうか、正確なシミュレーションができないからです。

現段階で十分な現金・資産を保有していたとしても、契約期間中に十分な売上が確保できなくなってしまったら、たちまち支払いが滞ってしまうことも珍しくありません。

このような傾向は代理店側にも言えることで、売上を確保したいがあまり契約を急いだ結果、トラブルに発展するケースもあります。
せっかくの顧客を失わないよう、実際にはリース会社の審査が通っていないにもかかわらず、先に現物を納品してしまう代理店もいたようです。

もちろん、このような流れはイレギュラー中のイレギュラーであり、万一審査が通らなかった場合、大変なことになります。
契約者は、せっかく使い始めたコピー機を返品するか、すぐに現金で購入するかという、あまりにも極端な二択を迫られるのです。

契約者側としてとれる防衛策は、納品後の対応を迅速に行うことです。
代理店側には審査がきちんと通っているかどうかの言質を取り、リース会社から納品後の電話連絡がない場合は、審査の進捗を確認しましょう。

普段と違う契約の流れを経験した場合、きちんと段取りが組まれていないおそれもありますから、それを踏まえてチェックを入れておきます。

後述しますが、2020年後半から次第に審査状況は改善傾向にありますので、あくまでもリスクを最小限に減らすための方法と覚えておきましょう。

国側もリース契約に悩む中小企業の状況を懸念

2020年3月は、日本で新型コロナウイルスへの不安がピークに達した時期でもありました。
2月末には北海道で緊急事態宣言が発表されており、3月6日にはリースの支払猶予に関する経済産業大臣からの要請も出ています。

内容は、かんたんにまとめると、リース事業者側に対して「支払条件の変更への柔軟かつ適切な対応」と「対応の徹底」を要請したものです。
主に中小企業の救済を目的とした内容となっているため、リース事業者も無視することは難しく、自社の経営と合わせてバランスをとる必要性に迫られました。

結果として、審査基準を一時的に厳しくせざるを得ない会社も出てきたことから、今後の審査の難易度は新型コロナウイルスの感染規模に左右されるものと考えておく必要がありそうです。

代理店も大変な時期を経験している

メーカー・リース会社との間で板挟みになる代理店も、コロナ禍での活動は決して平坦なものではありません。
お店によって多少の違いはあるものの、契約・審査に関する部分で厳しい判断を迫られた時期は、一般中小企業と同様に存在しています。

審査どころじゃなかったコロナ禍の状況

経済よりも生命が重視され始め、日本全土で自粛の動きが生まれると、各社の企業活動にも変化が生じるようになりました。
オフィスではなく自宅で仕事をするテレワーク・オンラインで会話するビデオチャットサービスの採用など、働き方そのものを否応なしに変化させる必要性に迫られたのです。

【オフィスで仕事をしない=業務用コピー機のニーズが減る】という公式は、必ずしもすべての業種・会社で当てはまるものではありません。
ただ、顧客のニーズに変化が生じたことは事実であり、そのような環境下で新たにリース契約を結ぶのが厳しかったことは容易に想像できます。

コピー機のリース業界全体を見ると、特に2020年3月から5月は審査を通せない状況が続いていました。
中小企業同様、先の見通しがつかないため、状況が落ち着くまでは新規契約をストップする形で対応した会社もあります。

改善傾向はみられるものの……

社会全体で新しい動きを控える中、リース会社も新規の契約を控えていました。
しかし、2020年7月を皮切りに、審査を進める動きが見られるようになります。

先にお伝えした3~5月の時期に審査を通して、残念ながらリース契約に至らなかった顧客が、その後7月以降に再審査をして契約にこぎつけた例もあります。
ただ、日本・世界各地で感染者が大幅に急増した場合はどうなるか分かりませんから、油断は禁物です。

すべての否決要因が新型コロナウイルスにあるわけではない

代理店目線で考えると、確かにコロナ禍で売上は落ちてしまったわけですが、否決の理由を新型コロナウイルスが提供してくれていたという側面もあります。
つまり、審査に落ちた理由を説明するのに、新型コロナウイルスの存在を利用するケースもあったということです。

コロナ禍にかかわらず、条件面で審査に通らない人は一定数存在しているわけですが、実際のところ理由は分かりません。
リース会社から代理店側に対して、審査に落ちた理由を公開することはありませんから、本当のところ新型コロナウイルスが原因かどうかは代理店でも確認できないのです。

もし、2021年5月現在、新型コロナウイルスを理由に否決された場合、それ以外の原因を考えておいた方がよいでしょう。

コロナ禍でのリース審査・納品をスムーズに進めるために

コロナ禍における厳しい状況下でもリース契約を結びたい場合、どういった準備が必要になるのでしょうか。
すべてがうまくいくとは限りませんが、例えば以下のようなことを意識するだけでも、契約をスムーズに進められるでしょう。

どんな時でも基本は大事

長期にわたる契約を結ぶには、一時的な利益・損失といった情報だけでなく、会社としてきちんと生業が成立しているかが重要です。
まずは、借入金はきちんと返せているか・公共料金の支払いに滞りはないかなど、基本中の基本を引き締めておくことが大切です。

クレジットカードの支払遅れなど、ちょっとしたミスが続けば、そこが不安材料になってしまいます。
しかも、信用情報がリセットされるまで5年という月日を必要としますから、やはり普段の暮らしぶり・仕事ぶりに気を配ることは必須条件の一つと言えるでしょう。

リース会社の印象をプラスに変える意識を持つ

今まで業績に大きな問題がなかったのに、新型コロナウイルスの影響で一時的に売上が伸び悩んでしまった場合などは、影響が限定的なことをアピールしなければなりません。
社員の働き方改革を進めていること・在宅勤務や時差出勤の仕組みを整えていることなど、プラスの印象が与えられる情報を用意しておきましょう。

もちろん、それだけで審査に通ることはありませんが、もう一押しが欲しい時に効いてきます。
資料に関しても、用意できるものはすべて用意して臨んだ方が、審査時の印象を良くすることにつながるはずです。

努力しても厳しいケースは残念ながら存在する

審査を通すための努力・工夫は大切ですが、努力したからといって結果が常に伴うとは限りません。
新型コロナウイルスが持つ特徴から、敬遠されてしまう業種・地域も少なからず存在しています。

全国各地でクラスターが発生している繁華街にオフィス・お店が立地していると、やはりそれだけで審査に通りにくくなってしまう点は否めません。
水商売はもともと審査に通りにくい傾向にありましたが、そこに新型コロナウイルスが拍車をかけた形になります。

仕事上の都合で、事務所の登記場所を頻繁に変えるのも、審査には悪影響を及ぼします。
こちらも業種によっては致し方ないケースが多いものの、審査では不利に働きますから、該当する場合は状況に応じてリース以外の選択肢も視野に入れておくとよいでしょう。

この記事のまとめ

2020年10月現在、新型コロナウイルスは未だ多くの人に恐怖を植え付けています。
企業活動にも影響は幅広く及んでおり、コピー機のリースも一時期は新規契約が滞っていました。

ただ、いつまでも悪影響が続くことは想定しにくく、日本でも比較的影響が少ない地域が出てきています。
これからリース契約を考えているなら、やや審査のハードルが高くなっていることを自覚して、入念に準備をすすめましょう。

  • 公開日:2021.06.19

テーマ:リース契約

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