小型のコピー機・複合機のリース契約について。
リース契約のメリットはある?購入の方がお得なのか
個人事業主・小規模事業者にとって、コピー機・複合機のリースは悩ましい問題の一つです。
事業で利用するのは間違いないものの、頻度としてはそれほど多くなく、一般的なオフィスユースの機種では持て余してしまう可能性があるからです。
ただ、代理店で用意するプランをチェックしてみると、オフィスユース仕様の基本的なものをよく見かけることから、なかなか小型のコピー機・複合機をリースする気持ちにはならないかもしれません。
また、リースとなると5年という長期契約を結ぶ必要があることから、将来のことを考えて購入で手を打つ人も多いはずです。
リースを選ぶにせよ、購入を選ぶにせよ、どちらの選択肢にもメリット・デメリットが存在しています。
この記事では、それぞれのメリット・デメリットを比較した上で、ユーザーがどちらを選ぶべきかのか、ケース別に解説します。
小型のコピー機・複合機をリース契約するメリット・デメリット
小型コピー機・複合機は、あえてリース契約をする必要がない価格帯のものもありますが、アフターケアがしっかりしている分、機器の取扱いに慣れていない場合は安心できます。
以下に、小型のコピー機・複合機をリース契約した場合のメリット・デメリットについてお伝えします。
新品を安いランニングコストで利用でき、経費処理も楽
小型コピー機・複合機は、一般的なオフィスユースのモデルに比べると安いため、リース料もその分安く抑えられます。
A3~B5までのカセットを備え、コピー・FAX・スキャン機能を一通り揃えているものなら100万円前後を見積もる必要がありますが、カセットが1~2つしかない卓上サイズなら総額50万円以下でもリースを検討できます。
また、ランニングコストを安く済ませつつ、リース料として全額を経費計上できるため、費用管理の面でも優秀です。
動産保険への加入も不要で、償却資産税など税金計算の手間も省けますから、経理作業に人手をかけられないユーザーにとってはありがたいでしょう。
保守・処分の心配をしなくてもよい
リース契約を結んだ場合、ユーザーはほぼ例外なく、カウンター保守契約など各種保守契約を結びます。
月々・特定のスパンで費用の支払いを想定しておけばよく、サービスマンが定期的にトナー交換時のメンテナンスも行ってくれますから、自分でコピー機を購入した場合よりも長く同じ機種を利用できます。
注意点として、カウンター保守契約を選んだ場合、リース料が安い分だけ印刷枚数1枚あたりのカウンター保守料金が高くなる傾向にあります。
小型コピー機・複合機のリースプランで想定している以上の印刷枚数となる予定なら、毎月出ていくお金のシミュレーションは事前に行った上で契約しましょう。
5年は小規模事業者にとって長い
小型コピー機・複合機は、各種オプションを追加することができる反面、根本的な性能限界が現在使っている機種に生じた場合、リース契約の都合上アップグレードができません。
リース契約は原則として「同じ機種を5年使い続ける」ことを前提とした契約のため、事業の成長に合わせてコピー機を乗り換えるのが難しい部分は否めません。
事業が小規模ながらも安定している場合はともかく、事業拡大を今後も検討する流れなら、5年という契約期間は長過ぎるかもしれません。
自社のコピー・FAX・スキャンのニーズを把握した上で、最善の選択を心掛けたいところです。
プランが限定され、なおかつ審査に通らないリスクも
小型コピー機・複合機をリースするプランは、コピー機のリース契約では主流ではないことから、どうしてもプランが限定されてしまいがちです。
大きさの観点から、どうしてもSOHOを想定したモデルが対象となるため、小さくても必要とする印刷枚数が多い場合など、自社のニーズを満たす機種を選べない可能性もあります。
また、どんなにランニングコストが安くなったとしても、残念ながら審査に通らないケースは往々にして存在します。
小型コピー機・複合機だからといって、審査に通りやすいとは限らない点に注意が必要です。
小型のコピー機・複合機を購入するメリット・デメリット
購入という選択肢を選ぶと、リースと違い契約期間の面では自由度が高くなり、柔軟な利用計画を立てられます。
一方で、使い続けて一定年数が経過した場合に、同じ機種を使い続けるのが難しく、結果的にリースよりも寿命が短くなってしまうおそれもあります。
以下に、小型コピー機・複合機を購入した場合のメリット・デメリットをお伝えします。
家電量販店で購入でき、機能に不満があれば買い替えも気軽
スペックやメーカーなどにこだわりがなければ、小型コピー機・複合機は、家電量販店に並んでいるものを購入することができます。
通販などでも格安品を手に入れられますが、直接モノを見て検討できる分だけ、家電量販店での購入には安心して商品を選べるメリットがあります。
金額はリース品よりも相対的に安いモデルが多いため、後々機能に不満を感じた場合でも、買い替えが気軽にできます。
コピー機・複合機が必要なものの、将来的にいつまで同じ機種を使い続けるかイメージできない場合は、小さめのサイズを購入するのが無難です。
消耗品の購入も自分たちのペースで済ませられる
小型コピー機・複合機を購入した場合、法人向けスペック品・中古品を購入後に保守契約を別途結ぶケースを除いて、特定の保守契約を結ばないことがほとんどです。
そのため、サービスマンがやって来るタイミングに合わせてトナー・インクを交換するのではなく、自社で必要になった段階、比較的安いものが出回った段階など、時期を選んでまとまった数量を購入する方法が選べます。
月々の収入が一定でないなど、毎月の定額支出が負担に感じられる状況なら、リース料金・カウンター料金の負担を減らし、自社のタイミングで必要経費を支払うのも一手です。
消耗品の支払スパンを選べる自由度の高さは、やはり購入よりもリースに軍配が上がるでしょう。
故障したらメーカー修理を依頼しなければならない
コピー機・複合機は、大小問わず精密機器のため、車などに比べると耐久性はどうしても劣ります。
リースを想定した新品は5年が基本的な耐用年数ですが、家電量販店で購入するものは定期的なメンテナンスが入らない分、使い方によってはそれよりも寿命が短くなる可能性があります。
万一故障して動かなくなってしまったり、重度の不調に悩まされたりする状況におちいったら、機種によってはメーカーに送って修理を依頼しなければなりません。
それなら新しい機種を購入した方が早いため、想定していた年数よりも早く機種入れ替えのタイミングが発生することを想定して、購入を検討する必要があります。
処理・処分の手間がリースよりも多い
リース契約の場合、リース料が損金扱いとなるコピー機・複合機ですが、購入してしまうとそれは自社の「資産」になります。
すると、購入した機種の減価償却が必要になり、経理的な処理の負担が増えます。
また、自社の資産としてコピー機・複合機を取り扱う場合、どんなに小さな機種であっても自社で処分しなければなりません。
小さいから自社で処分すればよいと割り切るか、面倒なことはリース会社に任せたいと思うかによって、判断が変わってくるでしょう。
リースと購入、結局どっちが得なのか
ここまで、小型コピー機・複合機をリースした場合と購入した場合について、それぞれのメリット・デメリットをご紹介してきました。
その上で、小型コピー機・複合機を自社で利用する場合、結局どちらが得なのか、判断基準をいくつかご紹介します。
印刷ニーズが多い場合はリースを選ぶ
どちらかというとスキャンや取引先とのFAXが主流であり、自社で印刷物を頻繁に印刷しないようであれば、購入を選んだ方が負担は少ないでしょう。
具体的な数値としては、月間印刷枚数が500枚未満のオフィスだと、新品のリースでは持て余してしまう可能性があります。
逆に、小型でも月に500枚以上~2,000枚以下の印刷枚数があるなら、トラブルが起こった場合を想定して、定期的なメンテナンスが入るリース契約を選んだ方が安心できます。
自社で毎月、どのくらいの印刷枚数が出るのかを考慮した上で選びましょう。
オフィスのレイアウトが変わる場合は購入を選ぶ
比較的小さなオフィスの場合、事業展開・縮小・移転など、諸々の事情に応じてオフィスのレイアウトも変わってきます。
そんな時、リース契約を結んでいると、所定の位置からコピー機・複合機を移動させる場合、その都度リース会社に連絡を入れなければなりません。
複数のデスクで一つのコピー機・複合機を共有しつつ、場所を必要に応じて変えたいという場合は、購入してしまった方が手続きが少なく楽です。
オフィス以外の場所で使いたい場合も、購入なら気軽に移動させることができます。
選ぶ以前に「リース審査に通るかどうか」も重要
小型コピー機・複合機だからといって、リース審査の難易度が低くなるとは限りません。
契約期間が5年と長い分、信頼できる実績がなければ、どのリース会社も首を縦に振らないでしょう。
個人事業主の場合、個人の信用情報や年収が結果に響いてくるため、事業を立ち上げたばかりなどの理由からNGになってしまうリスクも十分考えられます。
どちらにするかを選ぶ前に、そもそも現在の状況でリースの審査に通るかどうかを検討することも、選択肢の中に含めておくことをおすすめします。
この記事のまとめ
コピー機・複合機は、小さいモデルを導入しようと考えた時、様々なファクターが頭をよぎります。
予算・メンテナンス・配置・審査など、複数のファクターを総合的に考えて初めて、購入・リース・もしくはそれ以外の選択肢が見えてきます。
事業規模や月間印刷枚数も関係する問題のため、一概に万人に該当する回答というものは存在しません。
ただ、それぞれの選択肢を選んだ場合のメリット・デメリットを確認した上で判断できれば、その分だけ失敗する確率を少なくできるはずです。