コピー機の修理や解約と保険について。
リース契約中のコピー機が故障したらどうしたら良いか
コピー機を使い続けていると、時が経過するにつれて細かい不具合が多くなり、やがて動かなくなってしまうおそれがあります。
パソコンやプリンタなど、精密機器・備品はどうしても壊れやすい宿命にありますが、コピー機は不特定多数が繰り返し使い続けるため、どうしても劣化が早まる傾向にあります。
サービスマンの努力もむなしく、万一コピー機が故障してしまった場合、その後の解約や保険などの対応はどうなるのでしょうか。
この記事では、リース契約中のコピー機が故障した場合の対応について、修理・解約・保険の三要素を踏まえご紹介します。
リース契約中は原則として解約ができない
リース契約は、5年以上の契約になることがほとんどで、しかも原則として解約ができません。
コピー機が壊れたことに対して、リース会社が何らかの費用を負担してくれるわけではないことから、それを踏まえた上で対応を検討しなければなりません。
これは、リース取引における各種算定方法を示した「リース会計基準」でも定められている内容です。
リース会社が実際のユーザーに代わって商品を購入するという特殊な契約内容から、通常の賃貸借契約とは異なる規定が設けられています。
まずは保守サービスが修理してくれる
契約上、契約満了までコピー機を使い続けることが原則である以上、ユーザーはコピー機を使い終えてからリース会社に返納することになります。
仮に、コピー機に不具合や故障が生じた場合、まずは窓口として保守サービスの適用を受けます。
コピー機のリース契約を結ぶ場合、同時にカウンター保守契約を結ぶ例が圧倒的多数です。
コピー機に何らかの不具合が生じたら、サービスマンがオフィスにやって来て、問題をチェックし修理してくれます。
この仕組みのメリットは、修理の際に別途料金が発生しないことです。
もちろん、各月のカウンター保守料金は発生しますが、固定費で不測の事態に対応できるため、リース契約をしている会社のほとんどがカウンター保守契約を採用しています。
動かなくなってしまったら?
コピー機は見た目はそれなりに大きくて頑丈そうですが、精密機械の部類に入るため中身はとても繊細で、車などと違って少しの衝撃で壊れてしまうことすらあります。
よって、ちょっとした外的要因の影響を受けやすく、長時間利用による劣化が積み重なればパーツが動かなくなる可能性があります。
サービスマンは頼りになりますが、それでも現場でできることは限られており、大掛かりな修理の対応をその場で即完結することはできません。
仮に、パーツ自体を新しいものに交換しなければならなかったり、システムが損傷してしまったりした場合は、最終的にメーカーのお世話になります。
コピー機の法定耐用年数は5年とされているため、少なくとも5年は問題なく使えるものと考えられますが、それ以上に長い期間のリース契約を結ぶ場合は、できるだけ耐久性に定評があるメーカーのものを選んだ方が良さそうです。
契約前に知っておきたい「損害賠償金」という概念
リース契約が続いている以上、同じ機種を何とかして修理し使い続ける必要があるものの、原則論だけでは限界があります。
急な事情で使えなくなったコピー機はお荷物以外の何物でもないため、そのまま置いていくのは損失になります。
しかし、そのような不慮の事態に対応できるよう、リース契約では損害賠償金の規定が設けられていることがほとんどです。
続いては、コピー機のリース契約を続けられなくなった場合に支払う「損害賠償金」という概念について説明していきます。
損害賠償金を支払わなければならない理由
損害賠償金とは、リース会社がコピー機を購入した際の代金を回収するために設けられている賠償金のことで、会社によっては規定損害金・規定損失金といった形で表現されていることもあります。
「損害賠償金」という単語だけを見ると、特段ユーザー側に落ち度がなくても賠償金を支払わなければならないのか、と思ってしまうかもしれません。
しかし、リース契約はやや特殊な契約形態で、お金を貸す代わりにモノを買って貸しているため、実質的にユーザーにお金を貸しているのと同義になります。
よって、借りたものをきちんと返せないのなら、その分別の形で返してもらおうとリース会社は考えます。
家や土地を担保にお金を借りるのと逆で、損害賠償金というお金を担保にモノを借りている、と考えれば分かりやすいと思います。
計算方法は大きく分けて2種類ある
損害賠償金を計算する場合、大きく分けて2種類の計算方法があります。
1つは「物件価額を基準」とする方法、もう1つは「残存リース料から未経過費用を差し引く」方法です。
どちらが適用されるかは、契約の内容によって変わってくるため、契約の段階で事前に確認しておきましょう。
もし、2つのうちいずれかを選べるなら、どちらが特になるのか試算してもらう・相見積もり時に確認することをおすすめします。
物件価額基準
物件価額を基準とする方法では、リース会社が負担していたコピー機の価額に対し、一定の料率をかけて金額を計算します。
料率は概ね110~115%となっていて、その額から経過した月数をもとに減額していきます。
使用月数が多ければ多いほど、減額される金額は大きくなります。
なお、公式は以下の通りです。
【(コピー機価格×料率)×([リース契約月数‐利用月数]÷リース契約月数)】
例えば、オフィスユース・130万円のモデルを5年リースで契約し、3年が経過した場合、以下のような計算になります。
【(1,300,000×1.10~1.15)×([60‐36]÷60)=572,000~598,000円】
残存リース料差し引き
上記の計算に比べると、残存リース料から未経過費用を差し引く場合、そこまで難しくないかもしれません。
計算の公式は以下の通りです。
【残存リース料‐未経過費用】
未経過費用の中には、資金調達コスト・固定資産税・保険料といった要素が組み合わさっています。
総じて、コピー機価額を基準に計算した場合に比べて、金額が安くなる場合があるため、計算方法や業者を選べる際は検討してみましょう。
実は、保険で損害賠償金をまかなう選択肢がある
ここまでの説明を見る限り、損害賠償金という仕組みは、ユーザーにとって大きな足かせになるものと思われます。
しかし、ユーザーにとってデメリットしかない契約が、世間一般に大きく広まるわけはなく、一見不利に見えても何らかの形でユーザーを保護する仕組みが設けられているものです。
リース契約の場合、コピー機の所有者たるリース会社の側で、コピー機自体に保険がかけられています。
これは、代金回収ができなくなった場合のリスクヘッジで、それによりユーザーも保護されるという仕組みです。
ここからは、損害賠償金をまかなってくれる保険の仕組みについてご紹介します。
コピー機に使われるのは「動産総合保険」
コピー機のリース契約において付保されるのは、不慮の出費を保護してくれる「動産総合保険」という保険です。
日本国内における偶発的な原因によって生じた多くの損害に対し、何らかの形で補償が受けられる内容となっています。
コピー機の所有者はリース会社であるため、保険をかけるのはリース会社です。
よって、保険料を支払うのはリース会社ですから、その点ではユーザーは安心できます。
保険が適用される期間については、コピー機が引き渡され、コピー機のリース契約が開始された日~契約満了の日までが該当します。
有効期間中は補償が可能で、満了後の再リース時には再度保険の付保を要します。
どんな状況に適用されるのか
動産総合保険に加入しているからといって、いかなる場合でもトラブルが起こればお金が支払われるというわけではありません。
リース契約における動産保険の対象事故というのは、それぞれのリース会社ごとに対応が異なるためです。
保険会社側の認定も必要で、保険金を支払うかどうかは最終的に保険会社のジャッジに委ねられます。
仮に、水漏れがリース会社で保険対象となっていたとしても、それが従業員の故意・重大な過失によって引き起こされたものなら、支払い拒否という事態にもつながりかねません。
保険内容と適用範囲の確認は、契約時にきちんと行っておいた方がよいでしょう。
保険金が支払われない場合もある
コピー機のリースにおいて、動産総合保険の適用範囲とされているものには、主に以下のようなものがあります。
- 火災
- 風災
- 落雷
- 雪害
- 雹災
- 盗難
- 破損
- 輸送時の車両や船舶の事故による損害(脱線、転覆、沈没等)
- 航空機の墜落
- 水漏れ
- 建築物の崩壊
- 誤操作による損害
これ以外の例としては、偶発的な電気的事故が保険の範囲に入っているケースもあります。
補償範囲の違いはリース会社ごとに異なるため、見積もり時の確認は必須です。
逆に、保険適用外となるケースとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
- 故意または重大な過失による損害
- 自然消耗
- 変質や腐食
- 獣害または虫害
- 戦争や暴動などの事変
- 差し押さえのような公権力による損害
- 原子力による損害
- 詐欺、横領に関する損害
- 置き忘れ
- 消耗品ないし部品の単独損害
この他、特に注意しておきたいのは、消耗品や部品だけの損害、故障・欠陥・劣化による損害、外形上(傷・汚れ・しみ)の損害、コンピュータウィルスによる損害等が適用外になっているケースがあることです。
天災となる地震や噴火・津波等の被害も適用外とされていることが多いため、入念に補償内容の確認が必要です。
この記事のまとめ
リース契約は長期間にわたる契約で、しかも解約が原則できないことから、ユーザーにとってリスクの高い契約と捉えられても不思議ではありません。
しかし、そのリスクを軽減するため、保守契約・動産総合保険といったリスクヘッジの仕組みが設けられています。
リース契約のタイミングによっては、必ずしも解約という選択ばかりが良い方法とは限らず、乗り換えのような手段も選べます。
自社にとって少しでも有利な条件で事を運べるよう、入念にチェックを入れましょう。