コピー機のリース契約をした後に
もし支払いできなくなったらどうなるのか
法定耐用年数が5年のコピー機・複合機は、同じ期間内でリース契約を結び利用するのが一般的です。
中古品も含め購入すること自体は可能ですが、1台あたりの金額が高いことから、あまりメジャーな選択肢ではありません。
リース契約にすることで、コピー機導入時にまとまったお金を用意する必要がなくなり、毎月のランニングコストも自社にとって負担の無い額に調整することができます。
その一方で、リース契約は特殊な契約であり、原則として解約ができないという特徴があります。
経営は、必ずしも順風満帆の時ばかりとは限らず、時化に悩まされる時もあります。
自社ではどうにもならない原因で経営が悪化しても、結局のところ自社がリース料の残額を支払わなければなりません。
この記事では、コピー機のリース契約における基本ルールを確認した上で、リース料が支払えない経営状態になった場合に起こりうる問題と、どうしても支払えない場合の対処法についてご紹介します。
状況がいつ悪い方向に転ぶのかは、実際のところどんなに優秀と言われる経営者でも完璧には分からないものですから、最悪の事態を想定し、その上で事前に対処できる方法を確認しておきましょう。
コピー機のリース契約における基本ルール
まずは、コピー機をリースした際の契約について、基本的なルールをおさらいしておきましょう。
リース契約には、ユーザーにとって毎月のランニングコストが安くなるメリットがある半面、数年間を契約に縛られるデメリットがあります。
原則として解約はできない
リース契約は、いわゆる割賦契約とは違い、最終的な所有権はリース会社から移転しません。
リース会社は、ユーザーが欲しいコピー機を購入し、それを貸し出すことで収益を得ているのです。
先払いでユーザーが希望するモノを購入して貸し出すわけですから、きちんと代金を回収できるまで契約を継続させなければなりません。
5年契約としたのであれば、きちんと5年間で代金を回収することを前提に契約を結ぶため、原則として解約は認められないのです。
ただ、絶対に解約ができないわけではなく、残存しているリース料を一括で支払ったり、契約で規定された損害賠償金を支払ったりすれば、多くの場合は解約できます。
あるいは、その両方のケースを想定して契約を結ぶケースもあります。
経営悪化による不払いも「契約違反」
原則として解約が認められないリース契約においては、経営悪化によりリース料を支払えなくなった場合であっても、契約違反として判断されます。
支払う意思はあっても支払えない、という立場から考えると、納得がいかないという経営者がいても不思議ではありませんが、残念ながら契約は契約です。
ただ、経営が芳しくない兆候が見られた段階で、資金を残すためリース契約を解約してしまおうと考える場合は、先にお伝えした通り所定の金額を支払えば解約できます。
「払えなくなってしまう」前に手を打つのが、経営悪化時におけるリース契約との付き合い方と言えるかもしれません。
ちなみに、解約と同時にコピー機を売却し、その金額で残債の支払に充てることは難しい部分があります。
コピー機の法定耐用年数は5年であり、車などと違って陳腐化が早く、販売経路も限られているからです。
相談がまったくできないというわけではありませんが、資金確保には別の手段を検討した方が賢明です。
放っておくとさらに事態は悪くなる
後述しますが、リース料が支払えなくなったからといって、その状態を放っておくと、契約者の生活には次第に制限がかかっていきます。
未払いリース料の放置は、理由はどうあれ結果的に借金の滞納と同じ意味になりますから、法的措置をとられた後、最終的に財産が差し押さえられます。
こうなってしまうと、契約を結ぶにあたり様々な制限が課されるため、日々の生活にかなりの制限が設けられてしまいます。
リース料の支払いが難しくなりそうな状況と判断したら、なるべく早めに対策を講じなければなりません。
もし、リース料が支払えなくなったらどうなる?
リース料が支払えず、中途解約等の手続きを進めないまま放置していると、以下のような流れで法的措置へと進んでいきます。
どんな事情であれ、できるだけ早い段階でリース会社に相談するなど、問題をそのままにしておかないことが大切です。
まずは請求書が届く
リース料金の支払い方法は、口座振替が基本です。
そのため、自社のミスも含めて口座に十分な金額がない場合、残高不足となり引落ができません。
すると、リース会社は請求書を契約者に送付します。
その後の対応はリース会社によって変わってきますが、多くの場合は再引落・もしくは指定口座への振込という形で未払い分を支払います。
どうしてもお金の都合がつかず、指定期日までに支払えなかったとしても、事情を説明してすぐにお金を振り込んでおけば、大きな問題に発展することはありません。
請求書を放置していると、やがて督促が行われる
請求書が届いた後、指定期日までにリース料の支払いを行わず、リース会社に何も連絡を入れていなければ、次に督促の電話が入ります。
この段階で支払い日を決めて、その日までにリース料を支払えば問題ありませんが、さらに支払いが遅れてしまうと、リース会社の担当者がやって来ます。
督促と聞くと、いわゆる恐喝のような行為を想像するかもしれませんが、担当者も「絶対に金を返せ」と血相を変えて脅してくるわけではなく、今後のスケジュールや会社の事情を確認したくて足を運んでいます。
よって、率直に事情を話した上で相談すれば、支払いが猶予される場合もあります。
とはいえ、いつまでも支払いを待ってくれることはありませんから、1ヶ月を目途に今後の方針を固めなければなりません。
保証人や保証会社に迷惑をかける
いつまでも滞納しているリース料を支払えないままの状態が続くと、やがては保証人・保証会社など、自社の借金を肩代わりする立場の人に迷惑をかけてしまいます。
保証会社との契約を結んでいる場合、代位弁済が行われるため、自社および経営者の信用情報にも傷がつきます。
信用情報に傷がつくと、例えば以下のようなことができなくなります。
- クレジットカードの作成
- 保証会社との契約が必要な賃貸物件の賃貸借契約
- 各種分割払い
運転資金を工面するだけでも大変なのに、その上プライベートも制限されてしまうと、再起にかなりの時間がかかってしまいます。
リース料の不払い放置は、長期的に見て何の解決策も生まないため、問題が生じた段階で早め早めの決断をすることが肝心です。
コピー機のリース料を支払えない場合の対処法
どうしてもコピー機のリース料が支払えない状況に陥った場合は、以下のような対処法を検討してみましょう。
すべてが理想的な結果に結びつくとは限りませんが、何もしないよりは確実に状況を進展させることができるはずです。
リスケを検討する
新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が苦しい経営を迫られています。
そのような事情を鑑みて、公益社団法人リース事業協会では、中小企業等のリースの支払猶予など、リース関連の相談窓口を設けています。
「リース相談窓口」相談専用ダイヤル:03-3595-2801
受付時間【平日 10:00~12:00/13:00~16:00】
契約しているリース会社に直接相談を持ち込むことに抵抗がある場合、まずは上記の窓口を頼ってみましょう。
支払う意思があり、経営の落ち込みが一時的なことを説明できれば、支払い猶予・減免といった対応も期待できます。
会社・事業売却を検討する
売上が激減し、ランニングコストの支払いがおぼつかない状況であれば、近い将来破産のリスクも考えられます。
数か月後に最悪の未来が想像できる状況なら、会社もしくは事業売却によって当座の資金を確保し、再びやり直すという方法もあります。
潤沢な資金を持つ買い手が見つかれば、資金確保だけでなく、従業員の雇用も守れます。
かんたんに決断できる話ではなく、買い手が見つかるとも限りませんが、事業規模が比較的大きいなら検討する価値は十分にあります。
ファクタリングを検討する
自社における売掛金の回収スパンが長い場合は、売掛債権を買い取ってもらうファクタリングを検討するのも一手です。
ファクタリングとは、入金待ちの請求書を買い取ってもらい、決済日前に現金を受け取る方法のことです。
信用情報を傷つけることなく、銀行融資に頼ることもなく、最短の場合は即日で現金化できるケースもあります。
自社というよりは取引先の事情でキャッシュフローが滞っている場合は、ファクタリングで現金を確保する方法も視野に入れておきたいところです。
カードローンや融資で対応する
最後の手段に近いですが、信用情報へのダメージを回避するため、カードローンを使う・融資に頼ることでリース料を支払う方法もあります。
カードローンは、他の方法に比べてハードルが低く、一時的に必要最低限のお金を準備するだけなら、そこまで大きな痛手にはなりません。
ただ、その分金利は高くなるため、後々そちらの返済も難しくなってしまうリスクがあります。
融資についても同様で、貸してくれる金融機関があればよいのですが、厳しい経営状況で相談するのはかえって藪蛇をつつく結果になるかもしれません。
リース料支払いのために借金を検討するくらいなら、別の方法を探した方が賢明です。
この記事のまとめ
新型コロナウイルスの影響が世界的に広がる中、経営状態の悪化に悩む経営者が増えるのは必然です。
将来の見通しを明るく見積もっていた企業であっても、次第に体力が落ちてしまうおそれがありますから、資金のあるうちにランニングコストを減らす努力が必要になってくるでしょう。
つらい時期を乗り越えなければ、その後の未来もありません。
リース料の支払いが厳しいと感じたら、まずはリース会社や協会に相談した上で、最善の選択肢を探りましょう。